國枝正人氏

医師として働きながら、政治に積極的に参加するため議員として活動する人もいる。「世のため人のため」という基本理念に共通するものを感じての行動かもしれない。では、医師として多忙を極めるなか、どのように政治活動に取り組んでいくのか。区議会議員を兼務していた経験のある歯科医師の國枝正人氏に、政治と歯科業界との関連性などを交えて紹介してもらう。

開業と同時に政治を意識し始めた

私は東京の文京区小石川にて2001年より歯科クリニックを開業しております。

 

開業と同時期に、地域の開業医が所属する小石川歯科医師会に入会しました。各種健診事業や学校歯科医、高齢者施設での口腔機能向上プログラムの指導、障害者の方への歯科治療なども経験し、歯科医師としての経験や知識はますます向上しました。

 

歯科医師会の新年会や決算総会などで地域選出の国会議員や地方議員と接することも多くなり、政治を身近に感じることも多くなりました。

きっかけは「路上喫煙禁止条例」

もともと歯科医師の業界は良くも悪くも政治と密接でした。国レベルでは毎年のように医療改定が行われ、職域選出の国会議員や歯科医師連盟のトップが動き、我々開業医にとって有利になるよう交渉します。時にその距離感や手法の問題が露呈して、いわゆる「政治とカネ」としてスケープゴート、自由民主党内の権力闘争のタネにもなりました。

 

また、地方自治体でも歯科医師会は行政からの委託事業である各種健診事業などにおいて、密接であります。

 

その様な環境の中、私が政治、特に地方自治に興味を持った大きな出来事がありました。東京都千代田区が2002年に制定した、通称「路上喫煙禁止条例」です。法律では禁止されていない路上での喫煙を、条例というその地域だけの法律で禁止し、違反者には罰金まで課した画期的なものでした。この事は全国で大きく報道され話題になりました。賛否両論でしたが、その後多くの自治体で制定され、社会が変わるきっかけになりました。

仲間が医院の経済的追及をする中、区議を目指す

政治に関する情報を取り入れる中、文京区などの地方自治体の議会選挙に立候補する為に収める供託金が30万円で済み、しかもある一定の得票があれば万が一落選しても、供託金や選挙ポスターの印刷代、選挙ハガキの郵送代、選挙カーの運転手代やガソリン代などが公費で賄えることを知りました。実際には、それら以上に選挙や事前活動にはお金が掛かるのですが、思っていたより敷居は低く感じました。

 

歯科医師として、多くの開業医仲間は自分の医院の経済的な追求、診療の知識、技術の向上が主な関心事です。私もそれは同じでありますが、地域の問題意識、例えば当時の文京区であれば人口減や公立小中学校の統廃合、その学校敷地の活用方法などに大きな関心があり、政治という社会のルール作りに日々関心は高まっておりました。もちろん歯科医師として、区の健康政策に歯科、運動、たばこ対策、アルコール対策、心の健康などを統合した「健康日本21」という厚生労働省の指針を反映させたいとの思いもありました。そして、いつしか文京区の区議会議員になりたいと、強く思うようになりました。

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