(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍において住宅ローン返済が深刻な問題となっています。国が勧める「リスケ」を選ぶと、老後破綻に繋がる可能性も…。深刻化する住宅ローン問題について、クラッチ不動産株式会社代表取締役の井上悠一氏が解説します。

気軽にできない「返済条件の変更」老後破綻のリスクも

返済条件が変更できれば、月々の返済額を抑えることができるので、住宅ローン返済を続けられる可能性があります。そのため、今は支払いが厳しいが、近い将来、収入回復の見込みがある場合には、金融機関に相談して、返済条件を変更してもらうことは得策であるといえます。

 

返済条件の変更は、銀行にとっては利子で得をするという面もあります。

 

ただし、返済条件の変更にはデメリットがあることも知っておく必要があります。例えば、返済期間を延長したことで、定年後も住宅ローンの支払いが続くようなことになれば、老後破綻の可能性もあります。例えば、65歳で完済する予定がリスケにより75歳になってしまうと、その年齢まで返済が続くのは厳しいといわざるを得ません。

 

退職金で一括返済すればいい、と安易に考えがちですが、厚生労働省の調査によればここ20年で退職金の平均額は1000万円近く減少していて、さらなる減少が予想されるため、退職金だけをあてにして返済計画を立ててしまえば、たちどころに行き詰まってしまいます。

 

退職金で住宅ローンを一括返済できないと、なけなしの年金から住宅ローンの支払いを続けなければならなくなり、生活を切り詰め、どうにか住宅ローンを捻出できたとしても、病気をしたり、配偶者に介護が必要になったりした場合には、生活が立ち行かなくなってしまうのです。

 

持ち家があると、原則として生活保護も受給できません。問題を先延ばしにしたツケが老後破綻として大きくのしかかってくるのです。

 

また、「返済猶予」により一定期間、元金の返済を猶予してもらう場合は、猶予期間が過ぎれば、毎月の支払額に猶予分の金額が上乗せされることを念頭に入れて、猶予期間中に生活の立て直しを図る必要があります。

 

頭では分かっていても、いざ支払いの段になると、上乗せされた金額は、思いのほか負担となります。収入の回復が芳しくなく、そこへ子どもの教育資金の出費などが重なってしまえば、せっかく返済条件を変更しても、住宅ローンの支払いは破綻してしまいます。収入の回復が見込めず、単にその場しのぎになってしまう可能性がある場合は、ほかの方法も検討する必要があります。

 

とはいえ、返済ができないと分かっていながら、何もせずに延滞してしまうことだけは避けなければなりません。コロナ禍であっても、延滞をすれば重いペナルティが課せられてしまうからです。

 

 

井上 悠一

クラッチ不動産株式会社 代表取締役

 

※本連載は、井上悠一氏の著書『あなたを住宅ローン危機から救う方法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

あなたを住宅ローン危機から救う方法

あなたを住宅ローン危機から救う方法

井上 悠一

幻冬舎メディアコンサルティング

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