ADHDやASDなどの発達障害の子どもを持つ保護者は、子育てに苦労することが少なくありません。本記事では、療育・児童発達支援スクール『コペル+(コペルプラス)』の代表講師である有元真紀氏が、発達障害の子どもたちと気軽にお約束すべきでない理由を解説していきます。

 

たとえば、「机に乗らないお約束」や「最後までがんばるお約束」ですが、この「お約束」は非常に曲者です。それは、本人が納得した約束でないことがしばしばあるからです。「お約束」をしたのに守れなかった、ということが繰り返されると、それはパターン化した行動になっていきます。つまり、「約束をする→それを破る」という図式ができあがってしまうのです。

 

そうすると、「約束をしたのにどうして守らないのか?」と叱ったり落胆したり、さらにもっと厳しくする必要があるのではないかと考えたり、悪循環に陥ります。「できなかった」という負のセルフイメージを子どもに与えてしまうことにもなります。

 

約束はお互いが納得してするものですので、幼い子どもには難しいことが多いです。発達障害の子どもであれば、それはなおさらでしょう。慎重に考えることが必要です。

大人は、子どもに「集中的に訓練」させてしまいがち

子どもに「これができるようになってほしい」と願うとき、大人はそのターゲットとする課題を「集中的に訓練したほうが効果的だ」と考えがちです。それは、一面としては真実であり、繰り返し試行することで、ひとつずつスキルを身に付ける方法はあります。

 

しかし、幼児期の発達においては、日常のなかで様々なことを見聞きし、模倣を繰り返し、大人が注目していないうちに、あるスキルを「いつの間にか身に付けていた」ということが多くあります。障害による偏りのため、自然にスキルを身に付けることが難しい子どもでも、意識的に刺激を強化して届ける方法によって、「いつの間にかできる」発達を目指すことは可能です。

 

私たちが行う療育では、様々な課題をテンポよく行います。ことばの刺激であったり、巧緻性のための課題であったり、見る、聞くスキルを高める取り組みであったり、歌やカードやおもちゃが魔法のように先生の手から展開されていくのです。

 

先生は、子どもの反応を逃さず観察しながら、子どもにいま必要なのはインプットとしての刺激なのか、アウトプットする準備ができているのか、反応に合わせて課題を行います。幼児期に最適な働きかけは、「できないことを訓練」することではなく、適切なサポートによる「できた」の積み重ねだと考えているからです。

 

「楽しい!」「できた!」を繰り返しながら、「いま、できるようにならなければ」とストレスをかけられることなく、子どもたちが「いつの間にか」できるようになっていくのを見守ることも「支援」なのです。

 

 

有元 真紀

株式会社コペル

 

 

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大坪 信之

幻冬舎メディアコンサルティング

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