(※写真はイメージです/PIXTA)

2020年のコロナショックで1万6000円付近まで下落した日経平均株価。株価はその後V字回復をしましたが、2021年8月上旬の時点では2万8000円付近で推移し、高値警戒感も強まっています。今回は、下落リスクを抑えながら日本株の長期上昇トレンドに追随するポートフォリオ戦略について、東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)が解説します。

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下値リスクを抑制し、長期上昇トレンドに乗るアイデア

日経平均株価は2020年3月につけた1万6000円台からのV字回復をしたが、高値警戒感が残ることも事実だと考える。また、FRB(米連邦準備制度理事会)によるテーパリング(量的緩和の縮小)観測や先行きの中国経済および規制強化の動きなども不透明感を強めよう。

 

このような局面では、リバランスも含め、下値リスクを抑制しながら長期の上昇トレンドに追随するためのポートフォリオ提案は一つの選択肢になると考えている。そして、投資家がそのようなときに構築できるポートフォリオのアイデアとしては、以下のようなものが考えられる。

 

【アイデア1】
2020年3月以来の株価上昇で高まった日本株のウェイトを減らし(一部利益確定)、出遅れ感のあるその他資産(オルタナティブ資産含む)のウェイトを高めるリバランス戦略。

【アイデア2】
上昇した日本株のウェイトをそのまま維持し、日本株内での資金シフトを行う(たとえば大きく値上がりした高PERのグロース株のウェイトを低下させ、低PBRや好配当などの出遅れのバリュー株のウェイトを上昇させるなど)。

【アイデア3】
短期の市場の動きに一喜一憂しない持続可能な投資スタイルとして日本株のESG(環境・社会・企業統治)関連ファンドに長期投資する。

【アイデア4】
安定的(長期的)に運用する「コア」部分と、積極的(短期的)に運用する「サテライト」部分に分けてポートフォリオを組む「コアサテライト戦略」をとる。

具体的には「コア部分」で中長期的な日本株の上昇を期待し、日本を代表する主力大型銘柄が組み入れ上位となっている日本株投信をバイ&ホールドする。一方、「サテライト部分」ではリスクは大きいものの、高い成長が期待できる小型株を組み入れる手法などが想定されよう。

また、その他のコアサテライト戦略では、「長期の日本株ロング戦略」と「短期の日本株タイミング戦略」の組合せも一つのポートフォリオ戦略となろう。たとえば、サテライト部分で市場動向に応じて投資タイミングを計り、タクティカル(戦術的)にこまめに利益確定やヘッジを行ったり、株価調整リスクなどにも機敏に対応できるようヘッジファンド型や機械的なアロケーション型のファンドへ投資したりしながらポートフォリオを構築するといった手法もあろう。

 

■まとめ

もちろん、長期的な日本株の強気見通しを基に戦略を立てても、相場なので実際どうなるかは誰にもわからない。ここから日経平均が年初来高値の3万1000円を突破するような良好なトレンドになるかもしれないし、FRB(米連邦準備制度理事会)によるテーパリング(量的緩和の縮小)の動きや中国経済および政策の不透明感が嫌気され急落の動きとなり、バイ&ホールド戦略で大きな損失を抱えることになるかもしれない。

 

ただし、仮に相場がどのような形になっても、それらに対応できる様々な分析手法やポートフォリオ戦略の種類を持っておくことは重要である。その際、単一の市場見通しや投資手法に基づくポートフォリオ戦略は、自分にとって単純で理解しやすい。また選択も心理的に楽であり、決定も自信を持ってスピーディーに行いやすい。

 

一方、行動ファイナンスでいう何らかのバイアス(自信過剰や人間の経験則に基づく意思決定)に陥り、ポートフォリオで本来とらなくてもいいところで過剰なリスクをとってしまっている可能性もまた捨てきれない。

 

そのようなリスクを避ける上でも「投資メンタルマネジメント」と「行動コーチング」の考えを取り入れ、多面的・複合的・客観的に物事を見ながらバイアスを回避し、持続的で合理的な投資の意思決定につなげたい(参照:『「投資メンタルマネジメント」「行動コーチング」が日本でも一般的になる』)。

 

中村 貴司

東海東京調査センター

投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)

 

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このレポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断の最終決定は、お客様自身の判断でなさるようお願いいたします。このレポートは、信頼できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、東海東京調査センターおよび東海東京証券は、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。なお、このレポートに記載された意見は、作成日における判断です。

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