西日本で最難関の誰もが知る超名門私立、灘中学校…この「灘中」に合格する子どもは、ほかの子どもたちと何が違うのか。本記事では、灘中合格者数16年連続1位を誇る塾浜学園の塾長である橋本憲一氏がこれまでの経験から感じた、灘中に「受かる子」と「落ちる子」の間にある学力以外の差について解説します。※本連載は橋本憲一氏の著書『灘中に合格する子は学力のほかに何を持っているのか: ワンランク上の志望校に受かるための能力と習慣』(ポプラ社)より、一部を抜粋・再編集したものです。
灘中に「受かる子」と「落ちる子」にある学力以外の決定的な差

勉強法の習慣で身に付く「ゲーム感覚で問題を解く」力

灘中という最難関の入学試験を自分の力で合格するわけですから、その子どもに秀でた能力があるのは間違いありません。しかし、その能力をつけるまでにひどく時間を必要とするタイプは、入学後に間違いなく苦労します。

 

では、合格するだけでなく、入学してからも強い子どもが持っているものは何か? キーワードは「短時間で質のよい勉強をする」ことです。

 

ご両親の目には、毎日長時間机に向かう子どものほうが優秀な子どもに映るかもしれませんが、最難関中受験の世界では、だらだらと無理やりやる3時間、4時間の勉強よりも、集中した1時間の勉強習慣のほうが圧倒的に質がよいのです。

 

実は浜学園には、予習というものがありません。通常授業は1コマ55分間ですが、子どもたちには予習なしで授業を受けてもらい、いかにその単元に魅力があるか、講師が内容を事細かく説明しながら学習を盛り上げていきます。

 

帰宅後、やってもらうのは授業やテストの復習中心で、他塾のように予習に時間を費やす必要がない分、家庭学習も短時間で集中したものになります。

 

短時間学習のメリットはさまざまありますが、例えば算数の場合、短時間でたくさんの問題を解くことが習慣化すると、通常なら解くのに10分かかるような問題をたった2〜3分でひらめいてしまうという子どもが現れます。

 

短い時間にキュッと集中することで、難問に対して構えて解くのではなく、何と何をどう結びつけるかを最短で考える、パズルのようなことになっているわけです。頭が柔軟な小学生ならではの特技で、このような感覚は中3生や高3生にはありません。

 

生まれてから脳を使っている年数が少ないからこその柔軟性だと私は想像していますが、この貴重な時期にいろいろな知恵に触れながら、短時間で質のよい勉強を習慣づけ、「一番いい解き方をチョイスしていくこと=勉強」だと知れば、どんなに難しい問題を前にしても、それを解くことが楽しいというゲーム感覚になっていくのです。