(※写真はイメージです/PIXTA)

一級建築士、設備設計一級建築士、マンション管理士その他多数の資格を所有し、分譲マンションの管理組合運営支援や大規模修繕工事支援など、建物に関するあらゆる不安解消と問題解決に取り組む小林道雄氏の著書『分譲マンション危機』より一部を抜粋・再編集し、マンション購入時には明かされない、老朽化や大規模修繕工事などの課題について解説します。

論争「戸建て or マンション」…結論「どっちも同じ」

◆戸建住宅に置き換えてみても同じことです

 

戸建住宅でも築30年や40年も経過すれば、どこかが壊れたり腐朽など老朽化してきます。以前からあったテーマですが、住むとすればマンションが良いか戸建住宅が良いかというテーマで報道や週刊誌で論じられてきましたが、どちらも一長一短があり、お住まいになられる人の考えにより選択してください、というのが結論でした。

 

修理や修繕の必要な時期は双方とも訪れます。分譲マンションは、計画的に修繕の為の積立をされ、計画的に修繕工事をされますが、戸建住宅は壊れた時や具合が悪くなった時に、修繕費用もその時に段取りされているのが現状で、計画的に準備されている訳ではないと思われます。

 

戸建住宅と分譲マンションとの大きな違いは、戸建住宅は老朽化したり空き家になったとしても特段の事情がない限り、いつでも自由に解体することができます。極論すれば、出たとこ勝負でいけます。

 

しかし、分譲マンションは、そうはいかないのです。薄汚れていて管理されていない老朽化したマンションは、周辺環境にも影響を与えますし、周辺住民からは敬遠されます。

 

ただ解体については、新築に建替える為の解体は区分所有者の4/5以上の賛成が必要ですが、管理組合を解散する為の建物解体は、区分所有者全員の賛成が必要です。財産がなくなる訳ですから当然です。地震などで被災したマンションなどの例外(※)はありますが、解体資金や再建資金などの問題でも進まないと思われます。

 

分譲マンションは区分所有建物であり、区分所有者の共有財産の側面もあり、財産価値の維持は生活の維持でもありますので、地方自治体により運用の違いはありますが、建築物や敷地などの定期調査が、建築基準法第12条第1項で義務化されており、安全性などの状況が調査されかつ役所に報告されることになっています。

 

しかし、建物の解体の為の積立準備金に関する考えは、国土交通省のガイドラインにも出ていません。国土交通省に於いても、この課題について検討されていると思われますが、今後は解体準備金の手立てのガイドラインも必要になってくると考えています。

 

※  被災マンション法:政令で定められた大規模な地震などの災害をうけた地域で、分譲マンションの取壊しを望んだ場合は、区分所有者の4/5以上の賛成で解体ができるとされた特別措置法

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『分譲マンション危機』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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