※画像はイメージです/PIXTA

在宅療養では、病院と変わらないがんの「緩和ケア」などの治療を受けることができます。一方で、「病院にはない良さ」も存在。在宅療養支援クリニック かえでの風 たま・かわさき院長、宮本謙一氏が解説します。

病院ではできない…在宅療養「最大のメリット」

人生の最期の時、その苦痛の大部分は「医療行為によるもの」との考え方があります。

 

さまざまな管が体内に留置されていると、身体的にも精神的にもかなりの苦痛を伴います。また、点滴を継続する場合、次第に皮膚や血管が弱くなるため、何度も点滴の差し替えが必要となり、腕や足があざだらけになります。

 

体が弱り、栄養状態や貧血が悪化し、心臓や腎臓の機能が衰えると、点滴によって体内に入った水分をうまく利用できなくなり、点滴した水分がそのまま浮腫(ふしゅ・むくみ)や胸水・腹水、痰の増加へとつながり、苦痛を増強させているだけの可能性もあります。

 

一般的に、体が弱った状態では、脱水気味の乾いた状態のほうが苦痛は少ないとされています。私は病院と在宅医療の現場でたくさんの方の最期の時間を見守ってきましたが、まさにそのとおりだと実感しています。

 

病院で点滴を続けながら最期を迎える場合、死の数時間から数日前に、死前喘鳴(しぜんぜんめい)と呼ばれる、喉元で痰がごろごろと動き苦しそうな呼吸が続くのが普通でしたが、在宅医療の現場では、苦痛の改善効果が得られない場合、最期まで点滴を続けることは少ないため、体が乾いた状態で最期を迎えることが多く、痰はあまり出ず、死前喘鳴が生じることもさほどありません。むくみもなく、すっきりとした凜々しい姿で最期を迎えることがほとんどです。

 

どのような形が、より人間らしい自然な最期の過ごし方なのか、それは誰にも分かりません。ただ、在宅療養を選択した場合、その選択肢が大幅に拡がることは間違いありません。

 

患者さんが家族と相談しながら、生き方、死に方を自由に選択できる、それが在宅療養の最大のメリットです。

 

 

宮本 謙一 

在宅療養支援クリニック かえでの風 たま・かわさき 院長

 

 

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※本連載は、宮本謙一氏の著書『在宅医療と「笑い」』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

在宅医療と「笑い」

在宅医療と「笑い」

宮本 謙一

幻冬舎メディアコンサルティング

在宅医療は、通院が難しい高齢の慢性疾患の患者さんや、がんの終末期の患者さんなどが、自宅で定期的に丁寧な診察を受けられる便利な制度です。 メリットは大きいのですが、うまくいかないときもあります。 医師や看護師…

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