(※画像はイメージです/PIXTA)

年金受給開始年齢の先送りが現実のものとなろうとしています。まだ先の話だと思っている人も、その状況を踏まえてライフプランを立てる必要があります。メガバンク勤務のち新銀行東京の創業メンバーとして活躍、その後多くの企業の責任者を歴任してきた著者が、新しい働き方を提唱します。※本記事は、大杉潤氏の著書『定年起業を始めるならこの1冊! 定年ひとり起業』(自由国民社)より一部を抜粋・再編集したものです。

受給年齢の引き上げまでの「動き」を予想する

1番目、2番目も引き続きやっていかなくては年金財政を維持できませんが、大きな効果は期待できません。

 

そこで3番目の「年金支給開始年齢の引き上げ」がカギを握るのです。

 

筆者の予測は、移行期間に12年かけること、据え置き期間を4年設けることの2点です。

 

60歳から65歳への移行の際にそうした期間をとったというのがその理由です。

 

そうすると、2026年4月に65歳への移行が完了するので、そこから4年間は「年金受給開始65歳」が維持され(据え置かれ)、2031年4月から66歳受給に移行し始めることになります。

 

対象は、1965年4月2日〜1966年4月1日生まれの学年の男性からです。

 

したがって、実際に65歳支給開始となるのは、1961年4月2日生まれから1965年4月1日生まれにあたる4学年分だけになります。

 

この学年の人たちは65歳への移行の際に、ぎりぎりで移行措置の恩恵を受けられなかった世代です。

 

どうしても「損した感」があるため、それを払拭する意味で、4年間を据え置き期間として設定するだろうというのが筆者の見方です。

 

65歳への移行の時もそうでしたし、法案が成立・施行する過程で、そのくらいの準備期間(システムおよび年金受給予定者の心の準備)が必要だろうと思うのです。

 

(出典)日本年金機構の資料をもとに筆者予測
[図表2]年金受給開始年齢70歳への移行スキーム・大杉予測 (出典)日本年金機構の資料をもとに筆者予測

 

今回が前回の受給開始年齢引き上げの移行措置と違うのは、基礎年金(または国民年金)と厚生年金の報酬比例部分を同時に行うだろうということです。

 

そうしないと間に合いません。

 

さらに、新型コロナ対策で行った大型補正予算の財源として国債発行額が急増し、日本の財政がさらに悪化している現在、それで間に合うのかという議論になることも考えられます。

 

まだまだ70歳年金受給は先の話と思う方がいるかも知れませんが、65歳年金受給はまだ移行が完了していません。

 

4年据え置いたうえで12年かけて移行させているので、合計16年かける大事業になるわけです。

 

2031年からスタートさせようと思えば、法案成立までそんなに時間はありません。

 

早く国民に告知して、70歳年金受給に向けた準備をしていく必要があるでしょう。70歳年金受給に向けた年金制度改正法が成立する頃には、「70歳就業確保法」において少なくとも大企業は努力義務ではなく強制、中小企業も強い努力義務になっていることでしょう。

 

また、年金受給開始年齢の選択肢も、65歳〜75歳となり、61歳〜64歳への繰り上げ受給は選択できなくなると思います。

 

実は、年金制度改正はこれでは終わりません。

 

と言うか、終わらせることができません。

 

日本の少子高齢化はこれからが本番で、労働人口の減少がさらに加速していきます。筆者は70歳受給開始への移行が完了したら、同じように4年間だけ70歳受給開始を据え置いて、すぐに75歳受給開始への移行が開始されると見ています。

 

 

大杉 潤

経営コンサルタント

ビジネス書作家

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大杉 潤

自由国民社

定年後の不安であるお金の問題に、定年後にひとりで起業した著者が答えます。 年金+アルファの収入を得るには楽しいことで、稼いでいくことが一番。そして、年金という収入が保証されている60代こそリスクのない「ひとり」…

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