これは革命だ!…ジョブズは「モノづくり」の何を変えたのか? (※画像はイメージです/PIXTA)

私たちの仕事は功利的・手段的なインストルメンタルなものから、自己充足的・自己完結的なコンサマトリーなものへと転換することが求められると山口周氏は語ります。今後、ビジネスマンに問われる意識とは。※本連載は山口周著『ビジネスの未来』(プレジデント社)の一部を抜粋し、編集したものです。

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今後ビジネスマンに問われる「社会彫刻家という意識」

■ビジネスの本義を問い直す

 

ボイスが「社会彫刻」という概念を唱えたのは1980年代のことですが、それから40年の時を経て、やっと、誰もがアーティストとして社会の建設に携わることが求められる時代がきた、ということです。

 

これはまた、CSV=Creating Social Valueということが、そこかしこで喧しく言われるようになったこととも関連しています。私自身はもちろん、CSVという考え方には賛同しますが、逆に言えば、わざわざ「Creating Social Value=社会的価値の創造」と断らなければならないほどに、私たちのビジネスは「社会的価値を生み出す活動」とはかけ離れたもの、いやむしろそれはしばしば「DSV=Destroying Social Value=社会的価値の破壊」とでもいうべき活動となってしまっている、ということでもあります。

 

ビジネスの本義が「社会が抱える課題を解決すること」あるいは「社会をより豊かな場所にすること」だったのだとすれば、あらためて「なぜ、こんなことになってしまったのだろう」ということを考えなくてはいけない時期にきているのではないでしょうか。

 

すでに何度も確認してきた通り、私たちの世界はすでに経済合理性限界曲線の内側にある物質的問題をほぼ解決し終えた「高原の社会」に達しています。このような「高原の社会」において、これまでに私たちが連綿とやってきた「市場の需要を探査し、それが経済合理性に見合うものかどうか吟味し、コストの範囲内でやれることをやって利益を出す」という営みはすでにゲームとして終了しています。

 

これからは、アーティストが、自らの衝動に基づいて作品を生み出すのと同じように、各人が、自らの衝動に基づいてビジネスに携わり、社会という作品の彫刻に集合的に関わるアーティストとして生きることが、求められています。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

■衝動で駆動するソーシャルイノベーション

 

多くの人が社会彫刻家という意識をもって社会の建設と幸福の実現に携わろうとすることで高原社会は本質的な意味でより豊かで、瑞々しく、友愛と労りに満ちたものになっていきます。

 

大きく整理すれば、その活動は次の二点になります。

 

1.社会的課題の解決(ソーシャルイノベーションの実現)
:経済合理性限界曲線の外側にある未解決の問題を解く

 

2.文化的価値の創出(カルチュラルクリエーションの実践)
:高原社会を「生きるに値する社会」にするモノ・コトを生み出す

 

普遍的問題についてはあらかた解決してしまった高原社会において、私たちに残された仕事は上記の二つしかありません。そしてこの二つの活動の実践には、どうしてもコンサマトリーな感性の回復が求められます。なぜかというと、上記の二つの活動は「経済的合理性」だけにたよっていたのでは必ずしも駆動されないからです。

 

ライプニッツ 代表 独立研究者
著作家
パブリックスピーカー

1970年東京都生まれ。神奈川県葉山町に在住。慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科美学美術史専攻修士課程修了。

電通、ボストン コンサルティング グループ等で戦略策定、文化政策、組織開発などに従事。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)でビジネス書大賞2018準大賞、HRアワード2018最優秀賞(書籍部門)を受賞。

その他の著書に、『劣化するオッサン社会の処方箋』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『外資系コンサルの知的生産術』『グーグルに勝つ広告モデル』(岡本一郎名義)(以上、光文社新書)、『外資系コンサルのスライド作成術』(東洋経済新報社)、『知的戦闘力を高める 独学の技法』『ニュータイプの時代』(ともにダイヤモンド社)、『武器になる哲学』(KADOKAWA)など。

(的野 弘路=撮影)

著者紹介

連載日本人はコロナ後の世界をどう生きるべきか

ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す

ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す

山口 周

プレジデント社

ビジネスはその歴史的使命をすでに終えているのではないか? 21世紀を生きる私たちの課せられた仕事は、過去のノスタルジーに引きずられて終了しつつある「経済成長」というゲームに不毛な延命・蘇生措置を施すことではない…

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