※画像はイメージです/PIXTA

親の面倒を見ている兄弟は、親の財産の消費や相続で「やりたい放題」になりがちです。実際に「争族」へ発展してしまったエピソードをご紹介します。※本記事は、一般社団法人相続終活専門協会の書籍 『プロが教える  相続でモメないための本』(アスコム)より一部を抜粋したものです。

長女の使い込みを確信した妹たちはけっきょく…

しかし、探しても探しても、ついに通帳は見つからなかった。長女に問いただすとキャッシュカードはあったけど通帳は見たことがないと言う。挙げ句の果てに「お母さんは預金なんてしてなかったんじゃない?」と投げやりに答えてくる始末だった。ここから、冒頭の「争族」に発展したのである。

 

長女の使い込みを確信したふたりの妹は、訴訟も考えて弁護士に相談した。しかし、長女が母の財産を使い込んだという確固たる証拠をつかむことはできないまま、裁判を起こすための金銭的な負担や、世間体などを考えたふたりは、けっきょく泣き寝入りするしかなかった――。

 

■同居の家族は「やりたい放題」になるのが現実

 

今回の事例のように、同居の親族が金融機関から生活費をおろしてくる際に現金を着服する例は枚挙にいとまがありません。他の親族が離れて住んでいる場合、このような実態は、親が亡くなるまで把握できません。ひどいケースだと、認知症になった親を銀行へ連れ出し、改印までしてお金を引き出す例もありました。

 

しかもほとんどの場合、使い込みが発覚したところで後の祭りです。よほど強力な使い込みの証拠が出てこない限り裁判で勝つのは難しいでしょう。肝心の親が他界した後だと、まさに「死人に口なし」です。

 

「親の承諾なく(勝手に預金を引き出した)」という点を主張立証するため、「当時の親は事実上の認知症だった」と主張する手もありますが、これも診断書などがなければ正確に立証することは難しくなります。

 

「まだら認知症」という症状もありえますので、「お金の引き出し当時、その瞬間に本当に認知症状態だったのか」ということは、明確な証拠がないと認定されにくいという面もあります。

 

このようなケースで有効なのは成年後見制度です。この制度を利用すれば、親を被後見人とし、子供が後見人になることで、こうしたトラブルを回避することができます。

 

うまく使えば便利な制度ですが、この成年後見制度も万能ではありません。

 

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江幡 吉昭

アスコム

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