「何とか退去させられないか」近所からのクレームに、家主も困り果てていた。(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者の「家賃滞納」問題。強制執行による立退き当日、賃借人は何を語ったのか。 ※本記事はOAG司法書士法人代表・太田垣章子氏の書籍『老後に住める家がない!』(ポプラ社)より一部を抜粋・編集したものです。

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    「家がないみたいです」…警察官が明かした悲しい事情

    「建て替えと言うよりは、鮎川さんが長年家賃滞納されていたので、それで裁判をしました。ご退去いただいたのは、法に則って強制執行の手続きですよ」

     

    警察官も「そら、そうですよね……」とため息交じりの回答です。

     

    「定住している家がないみたいです。それで頻繁に万引きしては、署に来て。生活保護とか申請して、住まいとお金を確保してくれるといいのですが、何度言っても役所に行かないんですよね」

     

    警察も老人施設ではないので、警察でご飯を食べるために万引きを繰り返されたら、たまったものじゃないでしょう。万引きをして、警察で取り調べを受け、帰されたとしても、その足で万引きをしてまた警察に連絡があるようです。

     

    行き場がなく、それでいて必要な情報が必要な人に届いていないのか、もしくは本人が「生活保護だけは受けたくない」と思っているのでしょうか。

     

    警察や刑務所が老人施設のようになってきていると聞きます。夜中の110番は「淋しい」という電話も多いとのこと。どのような時間であっても電話に出てくれて、とりあえずは対応してくれる…誰かと繋がりたいと、淋しい思いをしている高齢者の最後の砦なのでしょうか。

     

    「とりあえず最期に関わる前に退去してもらえて、本当に良かった」

     

    そう安堵した家主。民間の家主が、背負う問題ではありません。それでも国の体制も整っていない中で、複雑な思いが残ってしまいます。

     

    ※本記事で紹介されている事例はすべて、個人が特定されないよう変更を加えており、名前は仮名となっています。

     

     

    太田垣 章子

    OAG司法書士法人代表 司法書士

     

     

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