(※画像はイメージです/PIXTA)

私たちの社会は明るく開けた「高原社会」へ軟着陸しつつあるという。実現のカギとなるのは、システムを根底からぶっ壊すようなショックではなく、社会変革というにはあまりにも些末な取り組みだといいます。なぜなら現在の状況を生み出しているのは、私たち自身だからです。いま、私たちは何をすべきなのでしょうか、山口周氏が解説します。※本連載は山口周著『ビジネスの未来』(プレジデント社)の一部を抜粋し、編集したものです。

高原社会を成立させるためにすべき三つのこと

■必要なのは、しなやかで美しい変化

 

さて、ではコンサマトリーな高原社会を成立させるためには、私たちは今後、具体的にどのようなアクションを起こせばいいのでしょうか。

 

基本は次の三つとなります。

 

イニシアチブ1:真にやりたいコトを見つけ、取り組む
イニシアチブ2:真に応援したいモノ・コトにお金を払う
イニシアチブ3:(1と2を実現するための)ユニバーサル・ベーシック・インカムの導入

 

社会変革というにはあまりにも些末な取り組みのように思われるかもしれませんが、私は、これらのイニシアチブを一人ひとりが実行していけば確実に社会は変化していくと考えています。現在の私たちに必要なのは、システムを根底からぶっ壊すようなショックではなく、さなぎの中でイモムシが一度溶け、それが静かに蝶へと変わるようなしなやかで美しい変化です。なぜなら、現在の状況を生み出しているのは、知らないところにいるどこかの誰かではなく、当の私たち自身だからです。

 

数多くの国際機関や企業と社会変革プロジェクトで協働した社会システムデザイナーのデイヴィッド・ストローは、何か複雑な問題を解決しようとするとき、まず必要なのは「自分自身が、解決しようとしている問題を引き起こすシステムの一部なのだ」ということに気づくことだと指摘しています。いかなる問題であれ、個々のプレイヤーがどのようにしてシステムに関わり、そして無意識のうちに意図せざる問題の発生に関わっているのかを意識することなしにシステムの改善がもたらされることはありません。

 

なぜなら、そのシステムの中で、参加しているプレイヤーがもっとも自由にコントロールできるものは、システムそのものでも、あるいはシステムに参加している他者でもなく、自分自身でしかないからです。

 

現在の世界にはさまざまな問題が残存しており、多くの人が「政府が悪い、企業が悪い、マスコミが悪い、バカな奴が悪い」と他者を攻撃していますが、このような攻撃の先にやってくるのは「風通しの良い高原社会」とは真逆の、不寛容で、頑迷で、攻撃的で、排他的な、まさに「暗く淀んだ谷間」でしかありません。

 

山口周

ライプニッツ 代表

 

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す

ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す

山口 周

プレジデント社

ビジネスはその歴史的使命をすでに終えているのではないか? 21世紀を生きる私たちの課せられた仕事は、過去のノスタルジーに引きずられて終了しつつある「経済成長」というゲームに不毛な延命・蘇生措置を施すことではない…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧