高原社会を成立させるためにすべき三つのこと
■必要なのは、しなやかで美しい変化
さて、ではコンサマトリーな高原社会を成立させるためには、私たちは今後、具体的にどのようなアクションを起こせばいいのでしょうか。
基本は次の三つとなります。
イニシアチブ1:真にやりたいコトを見つけ、取り組む
イニシアチブ2:真に応援したいモノ・コトにお金を払う
イニシアチブ3:(1と2を実現するための)ユニバーサル・ベーシック・インカムの導入
社会変革というにはあまりにも些末な取り組みのように思われるかもしれませんが、私は、これらのイニシアチブを一人ひとりが実行していけば確実に社会は変化していくと考えています。現在の私たちに必要なのは、システムを根底からぶっ壊すようなショックではなく、さなぎの中でイモムシが一度溶け、それが静かに蝶へと変わるようなしなやかで美しい変化です。なぜなら、現在の状況を生み出しているのは、知らないところにいるどこかの誰かではなく、当の私たち自身だからです。
数多くの国際機関や企業と社会変革プロジェクトで協働した社会システムデザイナーのデイヴィッド・ストローは、何か複雑な問題を解決しようとするとき、まず必要なのは「自分自身が、解決しようとしている問題を引き起こすシステムの一部なのだ」ということに気づくことだと指摘しています。いかなる問題であれ、個々のプレイヤーがどのようにしてシステムに関わり、そして無意識のうちに意図せざる問題の発生に関わっているのかを意識することなしにシステムの改善がもたらされることはありません。
なぜなら、そのシステムの中で、参加しているプレイヤーがもっとも自由にコントロールできるものは、システムそのものでも、あるいはシステムに参加している他者でもなく、自分自身でしかないからです。
現在の世界にはさまざまな問題が残存しており、多くの人が「政府が悪い、企業が悪い、マスコミが悪い、バカな奴が悪い」と他者を攻撃していますが、このような攻撃の先にやってくるのは「風通しの良い高原社会」とは真逆の、不寛容で、頑迷で、攻撃的で、排他的な、まさに「暗く淀んだ谷間」でしかありません。
山口周
ライプニッツ 代表
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