※画像はイメージです/PIXTA

争族、離婚トラブル、労働問題…弁護士事務所には今日も様々な相談が舞い込みます。本連載では、弁護士法人アズバーズ代表の櫻井俊宏氏が、実際に寄せられたトラブル事例を紹介し、具体的な対策を解説します。※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

「業務で失敗したらバリカン」異常な習慣が…

1.ブラック企業とは?

 

ブラック企業とは、労働者の人権を日常的に侵害している職場環境の会社を指します。

 

これまでの実例では、「業務で失敗したらバリカン」「ノルマが達成できなかったらスーツで100m全力走を10本」といったものがありました。悪質なハラスメントが日常行われているような会社は間違いなくブラック企業です。

 

このほか、法律違反スレスレのところを狙うブラック企業もあります。そういった場合は、企業に所属している本人、特に新卒の方は判断する基準がないので、どのような状態がブラック企業となるのか、把握しておく必要があります。

 

たとえば本件のAさんのように、「最初に提示された金額より給与が大幅に少ない」「残業代を正確に出していない」といった契約違反を平然と行い、明らかに違法な取り扱いをしているのなら、ブラック企業です。

 

後述しますが、残業を過度にさせる会社も、程度によってはブラック企業です。さらに最近では、退職を拒否するブラック企業が増えています。弁護士や行政書士等が「退職代行」という業務を行っているケースが多くなっているのです。

 

2.基本給15万円は適法?

 

使用者は最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければならないことが法律上定められています。

 

最低賃金の金額は都道府県ごとに異なります。なお、各都道府県の最低賃金の金額は厚生労働省のHPで確認できます(地域別最低賃金の全国一欄 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/)。

 

最低賃金は時給で示されているため、自分の給与が最低賃金に満たないかどうかは、時給に引き直して計算してください。最低賃金に満たない金額しか支払われていない場合は、最低賃金法に罰則の規定があります。最低賃金と実際支払われた賃金との差額について、のちに請求できる可能性もあります。

 

ただ、Aさんの基本給15万円は、最低賃金ぎりぎりで適法の可能性があります。Aさんの場合は、「基本給25万円」という口約束をそのまま信じてしまったのが問題でした。雇用契約書を結ぶか、労働条件通知書を出してもらうべきだったのです。

 

少なくとも労働条件通知書を出すことは法的義務なので、ない場合は早いうちに聞いてみましょう(労働基準法15条)。

 

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