(※写真はイメージです/PIXTA)

故人が遺言書をのこしていなければ、相続手続きのなかでもめごとが起こるケースはままあります。遺言書があったとしても、不備があれば同様です。ここでは行政書士の山田和美氏が、遺言書と相続争いについて解説します。※本連載は、書籍『「きちんとした、もめない遺言書」の書き方・のこし方』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

かえって争いを生む「中途半端な遺言書」

仮に、財産の特定や記載内容等、まったく問題のない遺言書があれば、「2」の話し合いや「3」の遺産分割協議書は必要ありません。相続人同士で話し合ったり、その結果をまとめたりするまでもなく、遺言書で財産の帰属先が決まっているためです。

 

あとは法務局や金融機関などの各手続き先にその遺言書を持参し、粛々と手続きを行なっていけば手続きが進みます。「遺言書があれば相続争いを防ぐことができる」と言われる理由は、ここなのです。

 

しかし、たとえ遺言書があったとしても、その遺言書のみでは手続きができず、遺産分割協議書が必要になってしまう場合があります。それは、遺言書をつくる段階で必要な確認や検討が漏れていたり、記載内容に問題があったりする場合です。

 

つまり、遺言書さえ書けば何でもよいわけではなく、中途半端な遺言書をのこすと、問題のない遺言書があれば不要であったはずの相続人同士の話し合いが必要になってしまうのです。

 

せっかく遺言書をのこしたにもかかわらず、遺産分割協議が必要になった結果、争いに発展してしまったり、手続きを進めることができなかったりすれば、一体何のために遺言書をのこしたのか、悔やんでも悔やみきれません。

 

 

山田 和美

なごみ行政書士事務所・なごみ相続サポートセンター(愛知県東海市)所長

 

 

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残念な実例が教えてくれる 「きちんとした、もめない遺言書」の書き方・のこし方

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山田 和美

日本実業出版社

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