(※写真はイメージです/PIXTA)

オーストラリア第3の経済都市、ブリスベン。いまこの街に、世界中の投資家が熱視線を送っています。その理由を、32年間にわたってオーストラリアで不動産ビジネスを手掛けている株式会社ワイドエステートの砂川盛作代表が解説します。

市街地開発に慎重で、不動産の需給が引き締まっている

さて、たとえ人口が増えても、オーストラリアは広大で土地も有り余っているので、ブリスベンの都市圏にある不動産の需給関係にあまり影響はないのでは?という疑問に思う方もいるかもしれません。

 

クィーンズランド州だけで日本の5倍程の土地を有していることを考えると、理論上は確かにそうなのですが、実は、クィーンズランド州が定める土地有効活用戦略「Shaping SEQ」において、新たな土地開発(市街化)を無秩序に拡大させないという方針が示されているのです。

 

これは、都市が急速に発展することに伴って、市街地が無秩序に開発されること(=スプロール現象)を抑制するための施策です。

 

具体的には、SEQエリアでは、新規の住宅増加はその60%を「既存の市街化区域内」で補っていくことが方針で定められています。そのため、ブリスベンは人口が増加していても住宅が供給過剰になることはなく、需給関係が引き締まっているので、不動産価格が値上がりしやすい環境が整っているのです。

 

余談になりますが、オーストラリア、特にクィーンズランド州は自然環境に影響を及ぼす開発行為にはかなり慎重で、その影響力は選挙戦にも重大な結果をもたらすほどです。

 

(個人的には、現行の公共インフラを有効に利用していくという方針は合理性があって賛成です。)

 

それではここで、新規の住宅を建てることができる「市街化区域(=Foot Print)」を地図で見てみましょう。次の地図のピンク色のエリアが該当し、範囲が意外と狭いことが一目でわかります。

 

出所:クィーンズランド州政府
出所:クィーンズランド州政府

 

最後に、ブリスベンを中心とするSEQエリアの不動産に注目が集まっている理由をまとめます。

 

・クィーンズランド州政府がSEQエリアを「戦略的成長エリア」として制定し、投資を集中している。
・人口が毎年増加して住宅供給に課題があるものの、実は新たな市街化の開発には保守的な政策をとっている。その結果、不動産の需給関係が引き締まり、好循環が生まれ、不動産の価値(空室率が低く、価値も安定)が増加する環境が整っている。

 

オーストラリアの都市といえば、シドニーやメルボルンを思い浮かべる方が多いと思いますが、ブリスベンに目を向けてみるのもおすすめです。

 

砂川 盛作

株式会社ワイドエステート 代表

 

 

 

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