(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事では、現役医師である中村重信氏、梶川博氏の著書『認知症の人が見る景色 正しい理解と寄り添う介護のために』より一部を抜粋・再編集し、家族や医療従事者が知っておきたい認知症の症状、治療法を分かりやすく解説します。

「行動・心理症状」は誰にも必ず現れるわけではない

認知機能障害(もの忘れなど)は認知症に必ず出る症状であるのに対し、行動・心理症状は認知症の人誰にも必ず現れるわけではありません。ある人には一部の症状が強く認められますが、他の人では全くないこともあります。6~9割の認知症の人が経過のいつかの時期で経験し、人によりどれが主な症状かは違います。

 

行動・心理症状は体調、痛みや不快感、薬の副作用、心理社会的要因、環境などが影響するので、医療従事者や関係者はこれらを一つ一つ根気よく改善していく必要があります。認知機能障害の程度、遺伝、性格、介護者との関係など多くの要因も複雑に絡み合っています。

 

行動異常として徘徊、暴力・暴言、嗜好の変化、食行動の異常(異食、不食)、失禁・不潔行為、日内リズムの変化(不眠、昼夜逆転)、多動、無言無動が現れます。心理症状として抑うつ、自発性低下(アパシー)、不安・焦り(焦燥)・不穏・不機嫌、幻覚、不眠(睡眠障害)、妄想などが起こります。

認知症にはどんな症状が見られるのか?

●妄想:あり得ない思い(物を盗まれた)

●幻覚:現実にないものが見えると言う

●不穏:いらいらして落ち着かない

●抑うつ:落ち込んで元気がない、引きこもり、意欲を失う

●徘徊・多動:あてもなく歩き回る。何か探したり、居心地が悪くなると、ウロウロする。歩いて外出し、見当識障害のため家に帰れない

●異食:食べられないものでも口に入れる

●介護拒否:入浴や着替えなどの介護を嫌がる

●暴力・暴言:納得がいかないと大声を出したり、手を挙げる、物を壊したり、壁を蹴る

 

もっとも、認知症の人が皆同じ行動をするわけではありません。人によっては暴力を振ったり、失禁・不潔行為をしたりします。別の人ではこれらの症状がなく、不安が強くて積極的に行動せず、家の中にこもっていたり、たまに外へ出ると徘徊して家に帰れなかったりします。

 

何かをきっかけにして行動・心理症状が現れたり、悪化したりします。起こったことについていけない、新しい生活パターンに馴染めない、心の支えを失ってしまった、周囲から受け入れられないことが基礎にあるようです。近頃「心が折れる」と言いますが、自分を受け入れてもらえない現実に直面するからで、認知症の行動・心理症状が現れる原因となります。

 

行動・心理症状は介護に負担をかけ、認知症の人の生活の質を低下させるだけでなく、家族などの生活にも影響します。行動・心理症状は脳血管障害、感染症、脱水、便秘などにより悪化しますので、かかりつけ医と相談して下さい。

 

行動・心理症状のある人には薬以外の対応を試みて下さい。薬としてリスペリドン、オランザピン、クエチアピンなどの非定型抗精神薬が使われますが、パーキンソン病に似た副作用などが現れることも多いからです。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『認知症の人が見る景色 正しい理解と寄り添う介護のために』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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