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「数次相続」とは、相続手続きが終わらないうちに相続人が亡くなって、2回目の相続手続きをする場合のことをいいます。数次相続で土地の相続登記をする場合は2回分の手続きが必要になります。数次相続の相続登記で登録免許税が免税になる制度について見ていきましょう。

相続登記をしないと土地が誰のものかわからなくなる

「数次相続」とは、相続手続きが終わらないうちに相続人が亡くなって、2回目の相続手続きをする場合のことをいいます。

 

たとえば、祖父が亡くなって父が相続人になっていたとき、相続手続きが終わる前に相続人である父が亡くなってしまった場合などがあてはまります。数次相続で土地の相続登記をする場合は2回分の手続きが必要になります。相続登記に必要な登録免許税も2回分必要ですが、期間限定で最初の1回分が免税になります。

 

そもそも相続登記は相続した土地の名義を自分のものに変更する手続きですが、これまでは義務ではありませんでした。そのため、手続きを先延ばししたり、何代にもわたって放置したりするケースもみられます。

 

売買などの予定がなく相続人どうしのトラブルもなければ、相続登記をしなくても困ることはありません。しかし何代にもわたって相続登記をしないままでいると、その土地が誰のものであるかがわからなくなってしまいます。

 

所有者がわからない土地は権利の調整に時間がかかり、都市開発や災害復興の妨げになることがあります。開発や災害がなくても、管理を怠れば草木が茂ったり建物が崩れたりして近隣に迷惑をかける恐れがあります。

 

相続登記をしないことで所有者がわからなくなった土地は全国的に増えていて、深刻な社会問題になっています。

 

国土交通省は平成28年度に地籍調査をした約62万筆の土地について所有者を調べたところ、登記簿から所有者が判明しなかった割合は20.1%にのぼりました。そのうち3分の2は相続登記が行われておらず、残りの3分の1は所有者の住所変更が行われていませんでした。

一定の場合に「登録免許税が免税」になる

相続登記には対象の土地の固定資産税評価額の0.4%にあたる登録免許税が必要ですが、登録免許税の負担は相続登記が行われない理由の一つとされています。相続登記を促すため、平成30年4月1日から土地の相続で一定の要件を満たす場合に、相続登記の登録免許税が免除されています。数次相続があって一代前の相続登記ができていない場合に適用されるほか、評価額が低い土地の相続登記についても適用されます。

 

これらの免税措置は、令和3年3月31日までに登記の申請をした場合に有効ですが、期日は令和4年3月31日まで1年間延長される予定です。

 

なお、建物の相続登記にかかる登録免許税は免税になりません。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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