※画像はイメージです/PIXTA

税務調査を受けた際、税務署から書類に一筆を求められる場面があります。拒否した場合には税務調査が長引く可能性がありますが、素直に応じたほうがいいのでしょうか。税務署から一筆を求められた場合の対処法と、断った場合における税務調査への影響についてご説明します。

税務署が納税者に一筆入れることを求める最大の理由

税務署が納税者に一筆入れることを求める最大の理由は、重加算税を賦課するためです。そのため調査担当者が重加算税を賦課する意思がある場合には、質問応答記録書の作成をします。

 

■税務署は裁判まで想定して重加算税を賦課決定する

申告漏れや申告誤りによるペナルティとして、加算税があります。加算税は過少に申告したことに対しての罰則で、無申告加算税」・「過少申告加算税」・「重加算税」と、申告誤りの内容によって種類が変わります。

 

加算税の中でもっとも重いペナルティが、重加算税です。重加算税は本税に対して最低でも35%賦課される加算税で、申告内容を仮装隠ぺいしていた場合にのみ課されます。

 

税務署が重加算税の賦課決定をしても、裁判により仮装隠ぺい行為がないと判断されれば重加算税は取り消されるため、税務署は仮装隠ぺいの事実となる書類を一つでも多く収集します。

 

■重加算税の賦課決定は税務署長が判断する

重加算税の賦課決定は、税務署長が調査担当者からの報告内容により判断します。

 

仮装隠ぺい行為の証拠が乏しければ、税務署長は重加算税の賦課決定を行いません。そのため調査担当者は、税務署長が重加算税を賦課することが相当と判断する材料として、質問応答記録書を作成します。質問応答記録書に納税者の一筆が入っていれば、調査担当者と納税者の合意の下で作成した書類であることが証明されます。

 

その記録書の中で納税者が仮装隠ぺい行為を認めていれば裁判に発展する可能性は低いため、税務署長も重加算税の賦課決定をしやすくなります。

 

■質問応答記録書は税務調査の事実を証明する証拠の一つ

質問応答記録書は、税務調査で話した内容や申告書の提出に至った経緯をまとめた書類です。調査担当者は調査事績を部内書類として残しますが、客観性に欠けるため、裁判などに発展した場合の証拠としては不十分です。

 

また税務調査では、録音による証拠保全は行われません。そのため税務署職員が税務調査の内容を証拠として残すために、納税者が署名した質問応答記録書を作成し、証拠として活用します。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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