(※画像はイメージです/PIXTA)

凋落の一途をたどる「きもの業界」で、これまでに類を見ないヒット商品を生み出し続けている女性経営者がいます。商品開発や販売のスキームだけでなく、人材育成においても、一般的な経営者とは異なる方法論があると語ります。スタッフの採用・育成に、どのような基準があるのでしょうか。本記事では、中小企業が生き残りの秘策を紹介します。

従業員の採用時、見るべきは「前歴・スキル」ではない

筆者は「従業員教育」という考え方を意識したことが、ほとんどありません。もちろん、業務に関するノウハウや商品情報などについては教えていますが、仕事への意識については教育するものではないと思っているからです。

 

筆者は仕事を、ワクワクしながら取り組んでこそと思っています。その感覚を共有できたら互いの関係性も仕事も良くなるに決まっています。例えば肌着を縫製しているときにいやいやミシンを動かしていたら、その思いは商品にこもると思うのです。反対に、「この商品は誰が使ってくれるのかな? その人のために役立ってくれるといいな」と楽しみながら仕事をしたら、その思いは必ず商品を通してお客さまに伝わります。

 

しかし、部下に「楽しみながら仕事をしろ」と言ったところで、相手の心にはなかなか響きません。それよりは、自らの背中を見せるほうが効果的なのではないでしょうか。楽しみながら働くほうが人生は豊かになるし、お客さまを喜ばせることにもつながると、自分の仕事ぶりを通じて伝えたいといつも思っています。もしかしたら「社長ばかりがいつも楽しそうだ」と感じている従業員がいるかもしれませんね。

 

従業員を採用するときには、覚悟の有無を見るようにしています。ある日、10代でシングルマザーになった女性が面接に来ました。現在は実家暮らしをしながらコンビニでアルバイトをしているが、これから子どもが大きくなったらもっとお金がかかるので、筆者の会社で正社員として働きたいという話でした。

 

この女性は、独身女性に比べて不利な状況に立たされています。子どもは就学前で、病気をしたらつきっきりで世話をしなくてはならない可能性がありました。彼女の自宅は会社から車で30分以上離れた場所で、決して通勤しやすい環境ではないのですが、近在の会社で採用してくれるところが一社もなかったというのです。それだけに、彼女には「たかはしでしっかりと働いて、子どもを育てていきたい」という覚悟が感じられたのです。

 

筆者は、自分の人生は自分で切り開くという、強い気持ちの持ち主が大好きです。そうした人は、強い責任感をもって仕事に取り組んでくれるからです。筆者は迷わず、その女性を採用しました。

 

筆者は、応募者の過去がどうであろうと、前歴は気にしません。覚悟があり、かつ、他者への敬意と感謝の気持ちさえあれば、スキルや経験の不足はどうにでも補えると、筆者は考えています。

 

 

髙橋 和江

有限会社たかはし代表

和装肌着製造メーカー「たかはしきもの工房」代表

きものナビゲーター

 

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