「最強の人材」とは、誰もが嫌がる分野で成果を出す人
例を出しましょう。私の友人で「首切り屋」と呼ばれる人事部長がいます。彼の転職先では必ず3年以内にリストラが起きると知られているので名前は出せません。
彼は衰退・再展開期が得意なので、必然とリストラ担当となりますが、一発で成功させ、去る人、残る人にとって一番いい条件でおさえ、事業も再展開への道をあがり、再浮上が見えた段階で次の組織に移ります。60歳近くになりますが、今でも引っぱりだこです。
「誰もが嫌がるけど、実は向いていて得意」という業務分野で、未来永劫なくならないものが見つかれば、ある意味最強です。
例えば、日系企業で外資系に買収された会社の、外資系企業が出す無理難題を、論理的に納得させ折り合いをつけ、日系企業の体制を守る(ディフェンシブすると言います)役割を担い、成果を出したりすると引く手あまたです。「外資系企業に買われた後、日系企業側を正しくディフェンス出来る人材」と労働市場の中で「タグ」がつきます。
外資系企業の日本法人の経営陣でも外資系企業のトップダウンでくる無理難題(日系企業の視点から見るとですが)を、納得できる形で海外のより上位職の方に折り合いをつけられる人はごく限られています。
最初はある技術分野で、専門用語の世界で片言の英語でも折り合いをつけた経験があれば、その経験だけでも大きく評価されます。ディフェンスする機能がうまく果たせない企業は多いし、外資系企業に買収されるケースもゼロにはならないでしょう。
対応出来る領域を広げていけばより大きい企業でより高いポジションで迎えいれられるでしょう。外資系企業の日本法人の社長だけではなく日系企業がどう海外子会社に方針を伝え、まとめていくかという、海外事業本部の責任者のポジションも見えてきます。
年収も2000万単位(それ以上の可能性もあり)。退職金も役員となると高くなります。早期リタイヤも可能になるし、その知見を活かして出版する。大学等で客員教授の依頼があるかも知れません。数十名程度の会社からスタートしても、ここまで登り詰めることも可能なのです。
松本 俊明
人事・戦略コンサルタント
HRストラテジー代表
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