アジア太平洋地域諸国の企業、一部にデジタル化の遅れ
現在、韓国のM&A実務担当者のほとんどは自身の会社や業界全体におけるM&Aプロセスのデジタル化および技術的洗練の度合いを、0点(低レベル)から10点(高レベル)の尺度で言えば、中程度のレベル(4点から6点)であると評価しています。
大部分の人は、自身の会社が5年以内に高レベルに到達できるとは考えていません。同時に、他のアジア太平洋地域諸国のM&A実務担当者らも同様の評価をしています。これは韓国やアジア太平洋地域諸国における一部企業のデジタル化が、遅れていることを示唆しています。では、こうした企業でデジタル化が遅れている理由とは何なのでしょうか?
韓国の実務担当者らのほとんどは、M&Aプロセスに関連したデジタル技術を採用するにあたっての主な障壁として、セキュリティやプライバシーに関する懸念、既存のシステムへと新たな技術を組み込むことの困難、財政的制約を挙げています。
一方、デューデリジェンスは加速化の見通し
一方で、デジタル化やM&A関連の技術は進歩しています。「次の5年間で、AIやマシンラーニング、ブロックチェーンやCRM(顧客関係管理およびマッピング)のプラットフォームといった技術によって、M&Aプロセスに最も大きな変化を起こすほどの影響がもたらされる可能性がある」と、韓国の実務担当者のほとんどが考えているのです。
また韓国の実務担当者たちは、「テクノロジーは、デューデリジェンスのプロセスにおけるさらに優れた分析能力とセキュリティを、次の5年間で可能にするだろう」とも考えています。加えて、彼らは書類とプロセスの標準化およびAIとマシンラーニングの技術がデューデリジェンスのスピードを更に加速させることに、非常に大きな期待を抱いています。実務担当者のほぼ3人に2人が、「デューデリジェンスのスピードは、現在の3-6ヵ月から2025年には1-3ヵ月にまで短縮されるだろう」と答えています。
※ アジア太平洋地域全体におけるM&A取引の推進状況、M&Aプロセスのデジタル化度合い等の詳細は、Datasiteの取引推進に関するレポート(「Deal Drivers: EMEA Q1 2021」)のほか、M&Aの現在とこれからに関するレポート(「The New State of M&A: 2020-2025」)で確認が可能です。
清水 洋一郎
Datasite 日本責任者
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