日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は厚生労働省『令和2年度 能力開発基本調査』から、社員教育について考えていきます。

社員教育は本当に役に立っているのか?従業員の評価

同調査では企業だけでなく、従業員個人に対しても調査を行っています。

 

そもそも向上させたい能力・スキルがあると答えた従業員は、全体の91.5%。その内容は正社員で「マネジメント能力・リーダーシップ」がトップで39.9%、「ITを使いこなす一般的な知識・能力」が 33.5%、 「課題解決スキル」が27.8%と続きます。一方、正社員以外では、「ITを使いこなす一般的な知識・能力」がトップで41.2%。「課題解決スキル」が21.2%と続きます。

 

そしてOff-JTを受講したのは「全体」の29.9%。「正社員」37.7%、「正社員以外」16.3%と、正社員のほうが受講率が高くなっています。

 

男女別に見ていくと、「男性」36.6%に対し、「女性」22.7%。 最終学歴別では、「大学文系」が34.1%、「大学理系」が44.8%、「大学院文系」が41.9%、「大学院(理系)」が50.0%と、大学院>大学、理系>文系となっています。年齢別にみると、「20~29歳」で37.4%、「30~39歳」で33.4%、 「40~49歳」で29.8%、「50~59歳」28.8%と年齢が上がるにつれて、受講率は下降しています。

 

そして受講したOff-JTが仕事に役立っているかどうか、経営者としては気になるところです。正社員では肯定的意見(「役に立った」と「どちらかというと役に立った」の合計)が94.9%、正社員以外でも肯定的意見が94.0%と、多数を占めています。

 

また自己啓発の傾向もOff-JTと同様で、正社員>非正社員、男性>女性、大学院>大学、理系>文系、20代>50代となっています。自己啓発の実施方法では、時代を反映して「eラーニング」が最も多く37.0%。続いて「ラジオ、テレビ、専門書等による自学、自習」が34.7%、「社内の自主的な勉強会、研究会への参加」と続きます。

 

自己啓発を行った従業員の平均延べ自己負担費用額は2万9200円。費用補助を受けた従業員は43.0%で、補助費用は平均4万8700円でした。

 

正社員に自己啓発を行った理由を尋ねると、トップは「現在の仕事に必要な知識・能力を身につけるため」で83.1%。「将来の仕事やキャリアアップに備えて」60.2%、「資格取得のため」31.5%と続きます。また自己啓発における問題点として、最も多く上がったのが「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」で54.6%。「費用がかかりすぎる」が29.2%、「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」が24.9%と続きます。

 

社員教育に対して、企業の思惑と従業員の思惑には多少の違いはありますが、双方、未来への投資になることは確か。また行うこと自体が目的になり、形骸化してしまうことも。刻々と変化する環境に合わせて実施することが大切です。

 

 

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