(※写真はイメージです/PIXTA)

「オルタナティブデータ」とは、政府が発表するGDPなどの一般的な統計データとは異なる、ネットやSNSのワードや人の移動データなどの「非伝統的なデータ」のことを指します。今回は、このオルタナティブデータを活用して景気の底打ち・反転を予測する方法を見ていきます。

「コマツの建機の稼働時間」から実需を読み取る

たとえば、個別企業のオルタナティブデータの一つとして、コマツが提供している「KOMTRAX(コムトラックス)」が挙げられる。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

GPS・通信ツールを活用した機械稼働管理システムであり、この「KOMTRAX」を搭載したコマツ製建設機械の一台当たり月間平均稼働時間(図参照。2020年6月当時)を見ると、中国は2020年4月以降3ヵ月連続前年同月比でプラスとなり、実需が伴ってきていたことがわかる。

 

 

特に、中国景気の回復はグローバル景気の影響を受けやすい日本株の上昇をサポートする要因につながり、市場に株価と実体経済が乖離し不透明感が強まるなかでも、グローバル製造業を中心とした日本の個別株に対して、強気な姿勢を継続できた可能性があろう。

 

2020年7月以降2021年3月まで中国の月間平均稼働時間は月次の上下の波がありながらも回復基調を強め、コマツの業績拡大につながり、株価上昇をもたらした(参考までに2021年4月、5月は一転、前年比で大きく落ち込んだことで株価に調整圧力がかかっており、今後の月次データの推移に留意)。

 

「KOMTRAX」は無料で取得することができる個別企業のオルタナティブデータの一つであり、その有用性がわかれば、活用する投資家も増えるため、結果としてその投資効果は減退していくとみられる。

 

とはいえ、高額で一般に非公開のオルタナティブデータもあり、また、原データを加工した上でどのように投資判断に活かすかは、投資家の高度な専門性と投資センスに依拠している。そのため、オルタナティブデータの優位性はある程度、持続可能だと見ている。

 

ヘッジファンドのデューデリジェンス(Due Diligence:適正評価の手続き)においては、オルタナティブデータの活用の有無やそれを活かす組織・運用体制も一つの評価項目として付け加えておきたい。

 

中村 貴司

東海東京調査センター

投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)

 

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