※画像はイメージです/PIXTA

投資初心者のなかには、しくみが理解できない金融商品や、なじみのない新興国の通貨等を買って、手痛い損失を被る人が少なくありません。十分な情報を持たずに金融商品を購入するのは、非常にリスクが高いことなのです。※本連載は、市川雄一郎氏の著書『投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え』(日本経済新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

あなたは「アストラゼネカ」を知っていたか?

2019年現在、国内総生産(GDP)の世界トップ3は、第1位が米国、第2位が中国、第3位が日本です。また、貿易取引通貨を見ても、米ドルがいまだ世界の基軸通貨の地位を確保しています。国債銀行間通信協会(SWIFT)の2016年12月の発表によると、代金決済で使われる通貨のシェア第1位は米ドルで、実に42.09%を占めています。第2位がユーロの31.30%、日本はわずか3.40%に過ぎません。現時点では依然として、米国経済の力は圧倒的なのです。

 

こう言うと、反論される方もあろうかと思います。第2位の中国は米国を追い抜く勢いだし、隣国だからよく知っているし、アリババやファーウェイのような大企業の情報もそれなりに開示されているじゃないか、と。しかし、中国発の情報にはいささか不確実性があり、経済政策についても先行きが見通せない面があります。投資目線で中国を見てみると、米国や日本のような「安心できる国」とは言い難いのが現状です。

 

ヨーロッパはどうでしょうか。英国やドイツ、フランスなど主要国の情報はリアルタイムで入ってくるし、よく知っている大企業もたくさんあります。しかし、米国と比べた時には、やはり情報格差がありそうです。以下のような例を挙げると、皆さんも肌感覚でご理解いただけると思います。

 

新型コロナワクチン開発で先行した欧米企業のことです。皆さんのなかには「米国のファイザーの名前は聞いたことがあるが、英国のアストラゼネカなんて初めて聞いた」と言う人が多いのではないでしょうか。要するに、「なじみ」があるかどうかです。

 

ファイザーはダウ・ジョーンズ工業平均株価(NYダウ平均)の30銘柄に名を連ねる大手創薬メーカーで、今回のワクチン開発に当たっても連邦政府の資金援助を断り、自力で開発に成功したことで、改めてその資金力と研究開発力に注目が集まりました。ワクチン供給も米国はもとより、英国や日本、さらには世界中の国々に供給を始めています。つまり、世界市場を視野にグローバルに事業展開しているのです。

 

このように、ダウ30銘柄企業はどれもズバ抜けた存在です。その時価総額は、たった30社なのに日本国内の全上場企業の時価総額をしのぐ巨大さ。しかも、どの企業も事業をグローバル展開し、収益の多くを米国以外の市場で上げています。情報も開示されているこんな投資先があるのですから、とりわけ初心者の場合は、わざわざよく知らない国・企業に投資するという冒険をすることはありません。

 

◆まとめ◆

知らないもの・わからないものには手を出すな!

 

 

市川 雄一郎

グローバルファイナンシャルスクール校長

 

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市川 雄一郎(編著)
グローバルファイナンシャルスクール(編)

日本経済新聞出版

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