女性の活躍が推進されている時代でありながら、多くの女性が出産や育児をきっかけに働くことを諦めている今の日本。その理由として、保育園を巡る問題が挙げられます。今回は、ベビーシッター事業、保育園事業、病院内保育園委託事業、企業主導型保育園のFC事業、人材育成・派遣・紹介事業などを展開する株式会社マザーグース代表取締役の柴崎方恵氏が、育児と仕事を両立できる、企業の「子育て支援」について解説していきます。

「育児休暇中・産休中の社員」9割が利用したいと回答

最初は企業内に保育所を設立しようとしましたが、法律や基準に則った設置場所、必要設備、設置後の監視体制、運用コスト等のハードルに直面することになりました。その難しさを打破するためのヒントになったのが、前述のママスクエアの事例です。

 

保育所ではなく、キッズスペース付きワーキングスペースという形を取ることで設置までのハードルが低くなり、このプロジェクトは大きく前進したのだといいます。

 

ママスクエアと同様、ソフトバンクの場合もキッズスペース付きワーキングスペースに子どもと一緒に出社し、常駐の保育スタッフに預けます。子どもが過ごすスペースは親から見えるところに配置し、食事やおむつ替えなどのお世話は親自身が行うこととしました。

 

この構想について、ソフトバンク社内で、法人事業に携わる関東圏の社員約4400人にアンケートを行ったところ、育児休暇中・産休中の女性社員のうち9割もの人が利用したいという意向を示したといいます。

「子連れ出勤できる環境づくり」で採用活動も有利に

2020年時点では、このワーキングスペースでは14人の女性が働き、そのうち12人が子連れ出勤を実際に行っていたそうです。子どものおむつ替えは母親がすることになっているので、キッズスペースから見守りスタッフが「〇ちゃん、おむつ替えお願いします」というプレートを出し、対応します。

 

もし、業務の都合ですぐに対応できない場合は、ほかの女性社員が対応するなどと助け合っています。それはまるで、昔の隣近所で助け合いながら子育てをしていた頃のような雰囲気です。業務については、チームでタスク管理し、情報共有も頻繁に行うことで、不測の事態もカバーし合います。(※2021年4月以降は対象部署に対象者がいないため、制度の実施は見送られています)

 

こういったキッズスペース付きワーキングスペースは、保育園と違い、食事の世話やおむつ交換などは母親自身が行うので、子どものちょっとした体調の変化に気づくこともでき、日々の成長を近くで感じることもできます。なにより、目の届く距離に子どもがいるという安心感があります。

 

また、子ども側も、幼児期から母親が働く姿を目にしているので、母親が働くことを理解し、成長とともに働くお母さんを誇りに思うようになります。それがさらにお母さんたちのモチベーションを上げることにもつながります。

 

求人広告を出す際、「子育て中歓迎」とうたう会社は増えてきています。とはいえ、実際には勤務時間が長かったり、休日も出勤しなければならなかったり、子どもを連れて出勤するまでの道のりが大変だったりすれば、なかなか人は集まりません。このように、子どもの成長を近くで見守りながら仕事ができるしくみを整えることで、採用活動にも非常に有利に働きます。

 

 

 

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柴崎 方恵

幻冬舎メディアコンサルティング

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