グローバル化の進展に伴い、リーダーの資質・役割も大きく変化しています。いままさに活躍する経営者・管理職はどのように行動・思考すべきなのでしょうか。ここでは、個々の強みを活かしつつ、チームや組織の力を底上げする手法を紹介します。※本記事は、都丸哲弘氏の著書『どんな時代でも生き残る リーダーの仕事』(かざひの文庫)より一部を抜粋・再編集したものです。

リーダーは「問題提起力、課題を見極める力」を磨け

●リーダーに求められる能力は変わった

 

時代が変わると、人や企業に求められることもおのずと変わってきます。業界を問わず、いま一番企業やリーダーに求められている力は「問題提起力」です。言い換えれば、何が課題かを正確に提示する能力のこと。

 

これまで必要とされてきた課題解決能力とは大きく異なります。

 

課題解決能力がもてはやされた時代は、課題が明確でした。だから、解決策を提示するだけでお客さまに喜んでもらえたのです。

 

たくさんの解決方法を知っていること、そしてそれをスピーディに提示することが商品になり、会社は成り立ってきました。

 

しかし、いまの時代はどうでしょうか?

 

これまで高い付加価値のあったものが、コモディティ化(一般化)するスピードが加速し、ビジネスモデルや商品力がどんどん短命になっているのです。

 

●「本質的な問題は何か?」を常に考える

 

たとえば、コンビニエンスストアの商品は、1年間で9割の商品が入れ替わると言われています。そうなると、いまの製造方法や販促の仕方、課題解決方法が、1年後にはすべて古くなるということを意味します。

 

ですから、求められているのは「どうやって商品を効率よくつくるか」ということではなく「そもそもコンビニエンスストアで売上を上げ続けるには、どんな商品が必要か?」を考えること。

 

解決策云々の前に、正しい問いかけをし、課題を明確にする力がとても重要な時代なのです。

 

問題提起力をつけるには、常に「本質的な問題は何か?」を考えるクセをつけること。

 

「一番の問題は何なのか?」を突き詰めて考えてみるのです。

 

「そもそも何が問題なの?」

 

「そもそも何が悪いの?」

 

という問いに対する明確な答えがまだ見えていないものは、世の中に数多くあります。

 

多くの企業も、まだそこに着手できていないのです。

 

そこに踏み込むというのはとてもハードルが高いことですが、チャンスでもあります。本質的な課題がわかれば、これまでになかった解決方法が見つかるからです。

 

●問題提起力は、どんな仕事にも求められる

 

銀行などの金融業界がよい例でしょう。

 

これまでは上層部が決めた金融商品を販売することで、すべてがまわってきました。

 

しかし、現在は

 

「金融業は今後、何をすれば生き残れるのか?」

 

という問いが必要になってきています。

 

あなたがいる業界や働いている企業も例外ではありません。これまでの解決策がどんどん通用しなくなっている昨今、問題提起能力は、どんな仕事にも求められる強力な武器です。

 

どんなプロジェクトにあたるときにも、「一番の問題は何か?」を考えることを習慣にしてみてください。

メンバーへの「アウトプット」を欠かさない

●報告はリーダーがメンバーにするもの

 

筆者は昔から、「報・連・相」という言葉が好きではありません。

 

この言葉は、上下関係の最たるものだと思っているからです。

 

もちろん、報・連・相自体の必要性はよくわかっています。報・連・相は、情報を共有して課題を解決するための手段です。

 

そもそも筆者は、世の中の報告の定義に疑問を持っています。

 

情報を持っている人が持っていない人に共有してその資産を活かす、ということであれば、上も下も関係ありません。報告の頻度が高ければ高いほど、また細かければ細かいほど、皆が共有意識を持ちます。そして、全員が参画しているという意識が高まれば、かならずリスクマネジメントになります。

 

部下だけに一方的に報告させてばかりいると、経営陣や上司の考えも伝わりません。一番情報発信をすべきなのはリーダー層なのです。

 

お互い報告し合い、見逃していること、やっていないことを確認していれば、人のせいにしなくなります。

 

●情報共有が当たり前の文化をつくる

 

情報共有して仕事を進めることが当然だという文化をつくるために、最初はリーダーからどんどんアウトプットします。アウトプットをし続けていると、メンバーたちが少しずつ「色」をつけて返してくれるようになります。

 

やがて改善案などを出し合う風土が生まれ、会話が活発になっていくでしょう。

 

報・連・相の目的は物事を前に進めることですから、リーダーはできていないことを責めることはしませんし、できるための方法論を語るだけです。

 

このような文化を根づかせるには、自分が持っている情報を皆に渡そうという意識をまずリーダーが持つことなのです。

 

 

都丸 哲弘

wedo合同会社 代表

 

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どんな時代でも生き残るリーダーの仕事

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