(※写真はイメージです/PIXTA)

「余剰資金でFX投資をしている」「最近話題になっている暗号資産に投資した」。そのような人々が確定申告の時期に「こんなはずじゃなかった!」と落胆するのが、所得にかかる税金ではないでしょうか。投資を行う際は、得られる利益などの損得だけではなく、税金面も含めて充分に考慮する必要があります。今回は、暗号資産、FX、海外証券といった比較的新しい金融商品の課税方法について、国際相続や国際資産税に詳しい税理士法人ベリーベスト所属の税理士、佐下谷彩代氏が解説します。

暗号資産…他の所得と合算され累進税率が適用

2021年4月には史上最高値の700万円を突破したビットコイン。その後の大幅な下落もトピックとして話題になりました。依然、投資対象としても話題も豊富ですので、暗号資産(仮想通貨)に注目している、あるいはすでに保有しているという方も多いかもしれません。

 

しかし、課税方法について明確に理解されている方は意外と少ないように感じます。ここでしっかりと暗号資産の課税方法について把握しておきましょう。

 

【暗号資産の課税方法の特徴】

①雑所得として総合課税

②累進税率が適用される

③損失が出た場合の損益通算ができない

④損失の繰り越しができない

 

最大のポイントは「雑所得として総合課税」になることです。

 

通常の上場株の利益であれば申告分離課税が適用され、税率が一律合計20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)となります。

 

しかし、暗号資産から生じた利益については総合課税、つまり他の所得(給与や不動産所得等)と合算され累進税率(5%から45%、住民税を合わせると最大55%)が適用されます。つまり給与収入など、収入が高ければ高いほど、高い税率が適用されるのです。

 

他の所得との損益通算や繰越控除も認められていないため、その点も留意しておかなければいけません。損失が生じても損益通算ができないということは、仮に暗号資産取引で損失が生じても他の所得から控除することもできません。

 

繰越控除ができなければ、今年(2021年)に暗号資産取引で大きな損失が生じた場合、翌年に利益が出たとしても、今年の損失分は税金的になんの還付もされません。それどころか、来年の利益に莫大な税金がかかってしまうと理解していただければよいでしょう。

FX(国内FX口座)…一律の税率を適用、注意点は?

上述の暗号資産に比べると投資対象として身近になったと感じられるFX(外国為替証拠金取引)ですが、こちらも通常の株式とは違う課税方式が適用されています。

 

そのため、課税方法やその特色を理解しておかなければ、思ったよりも税額が高かったということになりかねません。以下ポイントを押さえておきましょう。

 

【FX(国内FX口座)の課税方法の特徴】

①雑所得として先物分離課税

②分離課税のため一律の税率が適用される(一律20.215%の税率)

③損失が出た場合、FXやFX以外の先物取引など同一区分から生じた利益であれば損益通算ができる

④損失の繰り越しができる(3年間)

 

総合課税される暗号資産とは異なり、FXによる所得については申告分離課税となるため一律の税率20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)が適用されます。

 

また、FXや他の先物取引から生じた利益だけとはいえ、損益通算や損失の繰越控除の適用は認められていますので、税金の申告上のメリットはあるといえるでしょう。ただし、通常の株式取引とは区分が違いますので、混同しないよう注意が必要です(たとえば株式から生じた損益とは相殺ができません)。

 

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