(※画像はイメージです/PIXTA)

ローン返済中に大規模災害などに遭って自宅が損傷した場合、建物の修理や生活基盤の立て直しのためにさらなるローンが必要になることがあります。しかし、行政や金融機関にもさまざまな救済措置が用意されているため、慌てないことが大切です。具体的な方法を紹介します。※本記事は、『自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本』(自由国民社)より抜粋・再編集したものです。

生活の建て直しの優先を…「二重ローン」問題の対処

住宅ローンが残っている住宅が倒壊等で住めなくなってしまった場合、新たな住宅の取得や大規模な補修のため、さらに借入れをするということがあります。返済の負担が増えたり、従前の借入れが大きいために新たな借入れが困難な場合もあり、「二重ローン問題」として取り上げられています。

 

自然災害の影響で、負担を抱えたままでは生活を再建することが難しい人について、破産等の法的な手段ではなく、金融機関と調整の上、借入れの減額や免除をしてもらえる「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」があります。今後の新たな借入れも可能になる、弁護士等の登録支援専門家による手続支援を無料で受けることができる、財産の一部を手元に残せるなどのメリットがあります。

 

そもそも借入金が返済できない場合には「自己破産」や「民事再生」などの法的整理の方法もあります。災害などの緊急時には金融機関に相談したうえで、返済にあまり気をとられることなく、まずは自分の生活の立て直しを優先しましょう。

 

 自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン 

※平成27年9月2日以降に災害救助法の適用を受けた自然災害が該当

 

【対象となる人】


・個人や個人事業主

・災害発生以前はきちんと返済していた人

・災害の影響により、住宅ローンや事業性ローン等の返済ができない、または近い将来返済ができないことが確実と見込まれる人

 

【手続きの流れ】

 

最も多く借り入れをしている金融機関へ、このガイドラインによる債務整理の手続きの着手を希望することを申し出。

地元弁護士会などを通じて、全国銀行協会に対し、「登録支援専門家」による手続きの支援を依頼。

金融機関に債務整理を申し出、必要書類を提出。この申し出の後は、債務の返済や督促は一時停止となる。

債務整理の内容(調停条項案)を登録支援専門家の支援を受けながら作成し、金融機関に提出・説明。

すべての借り入れ先から同意が得られたら、簡易裁判所へ特定調停を申し立て。特定調停手続きにより調停条項が確定すれば債務整理成立。

 

【メリット】


・債務整理したことが個人信用情報として登録されないので、新たな借り入れも可能。

・財産の一部をローンの支払いに充てずに手元に残すことができる。

・弁護士等「登録支援専門家」による手続支援を無料で受けることができる。

 

 

石川 英彦

金融デザイン株式会社 代表取締役

高田 晶子

金融デザイン株式会社 取締役

三上 隆太郎
株式会社MKM代表取締役

 

 

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