農地の相続時には、所得税や相続税等の申告が一般的な相続と同様に必須となります。加えて農地の名義変更など、踏むべき手順は多岐に渡り注意が必要です。ここでは、農地の相続で発生する税金の概要のほか、相続税の申告について税理士の奥田周年氏が解説します。※本記事は、『図解と事例でよくわかる 都市型農家の生産緑地対応と相続対策』(ビジネス教育出版社)より抜粋・再編集したものです。

(4)相続税の課税対象の計算 

 

相続税の課税対象である相続財産は、「被相続人の財産」に「みなし相続財産」と「贈与財産」を加算し、「債務・葬式費用」を控除して計算します。

 

【相続財産】

 

 

(5)基礎控除額の算定 

 

「相続税の基礎控除」とは、相続税の申告が必要かどうかの判定と相続税を納める必要があるかどうかの判定に使用します。

 

およその目安として、亡くなられた人のうち相続税の申告の必要な方は全体の10.7%(100人のうち11人)、相続税を納める必要のある方は8.3%(100人のうち8人)です。

 

【申告の要・不要のイメージ】

 

 

この相続税の基礎控除は、法定相続人の数で決まり、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。

 

【基礎控除額】

 

 

相続財産がこの基礎控除額を超える場合に、相続税の申告が必要になりますが、たとえば相続財産が8,000万円で、法定相続人が配偶者と長男、長女の合計3人の場合、8,000万円から4,800万円を差し引いた3,200万円に対し相続税がかかります。

 

【相続税がかかる・かからないのイメージ】

 

 

相続税の申告が必要になった場合は、相続開始の日から10ヵ月以内に被相続人の住所地の税務署に、相続税の申告書を提出し、納税を済ませる必要があります。

 

(6)相続税の計算 

 

相続税の考え方は、「個別の財産ごとにいくら」ではなく、「相続財産の総額に対していくら」なのかで決まります。

 

相続税の税率は、10%から55%の8段階の累進税率になっています。

 

【相続税の税率表】

 

 

相続財産を法定相続分で分けた仮定で、その取得財産に基づき上記の税率表から税率を決めていきます。

 

 

この相続税の総額を、実際に相続した財産の割合に応じて、各々の相続税を決めていきます。

 

 

(7)税額控除の確認 

 

各々の相続人の相続税が決まったら、適用できる税額控除を確認していきます。

 

【主な税額控除】

 

 

 

上記の税額控除を適用できれば、納税が不要なこともあります。

 

※配偶者の取得財産が4,800万円(1億6,000万円以下)のため、相続税がかかりません。

 

 

奥田 周年

OAG税理士法人 社員税理士

行政書士

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

あなたにオススメのセミナー

    図解と事例でよくわかる 都市型農家の生産緑地対応と相続対策

    図解と事例でよくわかる 都市型農家の生産緑地対応と相続対策

    奥田 周年

    ビジネス教育出版社

    生産緑地の2022年問題対応、三世代先を見据えた農業経営判断に不可欠の書! 特定生産緑地の申請をして営農継続? 賃貸? 農産物直売所やレストラン経営? それとも買取り申請して宅地転用? 様々な選択肢を示し、都市農地…

    人気記事ランキング

    • デイリー
    • 週間
    • 月間

    メルマガ会員登録者の
    ご案内

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    メルマガ登録
    TOPへ