元経済産業省産業構造審議会・商品先物取引分科会委員でファイナンシャルプランナーの三次理加氏が執筆した『お米の先物市場活用法』(時事通信出版局)より一部を編集・抜粋し、商品先物取引の特徴について解説します。

商品先物取引の「納会日」、「新甫(しんぽ)」とは

(2)決済期限がある

 

前述したように、商品先物取引は「将来の期限」までに差金決済するか、受渡決済をするか選択しなければなりません。つまり、商品先物取引は「決済期限がある」取引なのです。この決済期限のことを「納会日(のうかいび)」といいます。納会日までの期限は、商品によっても異なりますが最長で半年から1年超です。

 

また、受渡決済を選択した場合、実際に商品と代金を受け払いするのは納会日の後になります。原則として、この受渡日が属する月を「限月(げんげつ)」といいます。

 

限月は、6限月制の商品がほとんどですが、最近は、7限月、15限月の銘柄も上場されるようになりました。米の限月は、偶数月のみの6限月制です。

 

たとえば、今が9月の場合、決済期限が近い順から10月、12月、2月、4月、6月、8月となります。米以外の商品では、1月、2月、3月…のように連続限月のものや、1月、3月、5月…のように奇数限月で設定されている銘柄もあります。たとえば、連続限月のものには小豆、プラッツドバイ原油、奇数限月のものにはトウモロコシなどがあります。

 

限月は、「10月限(がつぎり)」のように、月の後に「限(ぎり)」を加えて読みます。他に、納会日が近い限月を当限(とうぎり)や期近(きぢか)、逆に遠い限月を先限(さきぎり)、先物(さきもの)、期先(きさき)、当限と先限の間に位置する限月を期中(きなか)、期央(きおう)、さらには期近から数えて2番限(ばんぎり)、3番限(ばんぎり)…と呼ぶこともあります。このように、限月を表す言葉はたくさんあります。

 

商品先物取引では、この限月ごとに値決めが行われます。米は6限月制のため、同じ銘柄でも限月ごとに六つの価格が存在することになります。

 

ある限月が納会日を迎えて消滅すると、新しい限月が誕生します。たとえば米の場合、今年の10月限が納会日を迎えて消滅すると、その翌営業日に翌年10月限が誕生します[図表2]。

 

[図表2]限月の誕生と消滅
[図表2]限月の誕生と消滅

 

この新しい10月限のことを「新甫(しんぽ)」、新甫が生まれる日を「新甫発会日」と呼びます。つまり、一つの限月は、新甫発会日から納会日まで存在することになります[図表3]。

 

[図表3]限月の期間
[図表3]限月の期間

 

なお、新甫発会日、納会日は、商品の銘柄により異なります。ちなみに、米の納会日は、偶数月の20日(当日が休業日の時は、繰り上げ)と規定されています。

 

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お米の先物市場活用法

お米の先物市場活用法

三次 理加

株式会社時事通信出版局

先物取引といえば、ハイリスク・ハイリターンな資産運用、投機というイメージが強い。一方、生産者、集荷業者、卸売業者、飲食業者等の立場で先物市場を利用する場合には、次のようなメリットがある。 1価格変動のリスクヘッ…

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