購入した不動産に欠陥があることが判明した場合、その物件が注文住宅なのか、建売なのか、マンションなのかによって対処法もそれぞれ違ってきます。ここでは、不動産の種類ごとに整理しながら、具体的な対応を見ていきます。特定非営利活動法人建築Gメンの会理事長で一級建築士の大川照夫氏が解説します。

マンション:引き渡し2年以内なら「売主負担」になる

 5. マンションの場合 

 

マンションで欠陥がみつかった場合、宅地建物取引業法により引渡しから2年以内の物件では「瑕疵(契約不適合)は売主負担において修繕しなければならない」となっています。

 

つまり、完成時にすでにあった欠陥で引渡しから2年以内であれば、フローリングの施工不良、ドアの取り付けの不具合といったレベルで、売主の負担で補修してもらうことができます。なお、昨今は売主から「内覧会で確認済み」という理由で売主が補修対応しないケースが多いため、内覧会では不具合がないか細かくチェックしましょう。

 

引渡しから2年を過ぎてしまったら、今度は「住宅の品質確保の促進等に関する法律(=品確法)」により、住宅の構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分については、10年以内であれば売主の負担で修繕しなければならないという法律があります(ただし、2000年4月1日以降に契約した物件に適用される)。基礎、壁や床、屋根のコンクリート、雨漏りまで補修範囲となっています。

 

この期限を過ぎると、民事裁判で売主に補修を要求することも難しくなりますので、欠陥に気づいたらすぐに対応しましょう。

欠陥住宅の「症状例」と「調査項目」

 6. 欠陥住宅の症状例 

 

完成した建物の場合、まず最初に仕上げ面の欠陥に気がつきます。壁のひび割れ、壁クロスのよじれ、床なり、床のきしみ、建具の開閉不良、各部の隙間、水漏れ、雨漏りなどがよくある症状です。柱や壁の傾き、床の傾斜などもあります。

 

これらの仕上げ面での欠陥が、単に仕上げ部分の施工不良によるものなのか、それとも下地組や主要構造部(躯体)に問題があって、結果として表に出てきているのか見極める必要があります。

 

そのためには、仕上げ面の点検、仕上げに隠れた部分の点検、機器を用いての調査が必要となり、素人による判断が難しいため、第三者の建築士などによる専門家に依頼して調査してもらいましょう。

 

 7. 欠陥住宅の調査項目 

 

欠陥住宅の調査項目については、必要性や状況に応じて変わってきますが、次のものがあげられます。

 

①基礎…基礎の沈下、基礎のひび割れ・欠損

②床…床の傾斜、床のたわみ、床鳴り・きしみ

③外壁…外壁の傾斜、外壁のひび割れ・欠損、外壁仕上げ材のはがれ・浮き

④内装…内装の傾斜、内装の仕上げ材のひびわれ・はがれ等

⑤天井…天井のたわみ

⑥屋根…屋根の変形(はがれ、ずれ、浮き)

⑦室内…雨漏り・漏水、設備からの漏水、排水不良、結露、断熱不良、建具の開閉不良

 

以上の結果から、住みはじめて欠陥をみつけたら、素人判断をせずに第三者の専門家などに、調査をしてもらって下さい。

 

なお、裁判を提起する場合、第三者の専門家に、どのような欠陥(=瑕疵)が存在するか、これをどのような方法で補修するのか、修補費用はいくらになるかなどを調査してもらい、鑑定書を作成してもらいましょう。このとき、法廷で名乗りをあげて証言してくれる専門家に調査を委ねて下さい。

 

 

大川 照夫

一級建築士

特定非営利活動法人建築Gメンの会 理事長

 

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本記事は、「欠陥住宅問題に取り組む第三者検査NPO - 建築Gメンの会」のウェブサイト(https://www.kenchiku-gmen.or.jp/)から転載・再編集したものです。

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