(※写真はイメージです/PIXTA)

未公開株式に投資するファンドに「プライベート・エクイティ(PE)ファンド」があります。そして、このPEファンドの代表的なものには「ベンチャーキャピタルファンド」と「バイアウトファンド」があります。今回は、両者の共通点や違いについて見ていきます。※本連載は、渋澤健氏の著書『渋沢栄一 愛と勇気と資本主義』(日経ビジネス人文庫)より一部を抜粋・再編集したものです。

「VCファンド」と「バイアウトファンド」の違い

同じ非公開株式投資のPEファンドとして、ベンチャーキャピタルやバイアウトの共通点は多いが、もちろん、違いもある。

 

ベンチャーキャピタルファンドの場合、投資対象企業の現在の価格より、事業の将来性を重視する。

 

もちろん投資であるから、安い株価で投資できた方が良い。しかし、ベンチャー投資が大成功する場合、投資額と比べて何十倍以上ものリターンの可能性があるので、「どこで買う」より、事業の成長拡大によって「どこで売れるか」の方が大切である。

 

実績が乏しいベンチャー企業への投資は、失敗するのが常であるが、ファンドのポートフォリオに勝者の大当たりがあれば、全体のパフォーマンスを引き上げてくれる。大当たりを狙っているので、投資を逃したくない気持ちも働き、投資の取得価格にはそれほど神経質ではない。

 

一方、バイアウトファンドは、投資先が成熟した企業であり、ベンチャーのように高成長の展開が期待できるわけではない。

 

従って、彼らの場合は、「どこで買えるか」は重要な判断材料となる。つまり、投資対象の企業の潜在的価値と比べて、できるだけ安い価格で買った後で、事業再編を通じて価値創造した上で、適正価格で売却するというポイントが重要なのだ。

 

ベンチャーキャピタルのようにホームランのような大当たりは期待できないものの、三振は少なく、確実なヒットでランナーをかえすというイメージだ。

 

ベンチャーキャピタルの場合は、新興企業の成長という不確実性(リスク)を抱えることが、リターンの源泉になる。あくまでも、成長性の上方軌道への投資だ。

 

一方、バイアウトの投資対象は、成長が乏しい場合が少なくない。ただ、成熟した企業であるだけに、売上など安定したキャッシュフローが確保できる。業務的・財務的な再編を実行すれば、粗利やROEなどの回復によって、割安状態に放置されていた株価と企業価値の是正が期待できる。

 

ベンチャーキャピタルファンドの場合は、主役はあくまでも起業家だ。発行株数の過半数取得などによって投資先の経営権を支配するような投資はしない。

 

一方、バイアウトファンドの場合は、過半数の株式を保有することによって経営権を支配するコーポレート・ガバナンスが最も好ましいリスクマネジメントであると考える。

 

渋澤 健

コモンズ投信株式会社会長

 

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渋沢栄一 愛と勇気と資本主義

渋沢栄一 愛と勇気と資本主義

渋澤 健

日本経済新聞出版

もし、渋沢栄一が現代に生きていたら、日本の持続的成長を促すファンドをつくっていただろう――。 大手ヘッジファンドを経てコモンズ投信を創業した渋沢家5代目が、自身のビジネス経験と渋沢家家訓を重ね合わせ、目指すべ…

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