欠陥住宅をつかまないためには、工事がスタートした後の行動も重要です。施工業者に任せきりにせず、現場に足を運び、工程を把握・監視することがオーナーには求められます。これまで数多くの「悩める欠陥住宅オーナー」を助けてきた、特定非営利活動法人建築Gメンの会理事長で一級建築士の大川照夫氏が、特に注視すべきチェックポイントについて解説します。

目に見えない部分のチェック「住宅性能表示制度」とは

住宅性能表示制度とは、主に目に見えない部分の性能表示、共通のルールのもとで住宅を供給できる市場条件を整備したものです。性能の優越を競うことが目的ではなく、評価書に表示された性能は契約内容であり、第三者の評価員がチェックします。

 

 ●メリット 

 

◆消費者にとっては品質・安心・資産価値を得られ、生産者・販売者にとっては技術能力を第三者に評価してもらえる。

 

◆任意(評価は消費者の希望)のため、選択肢が広がる。

 

◆部分ごとに他物件と比較ができ、選択の参考になる。

 

◆施工段階で最低4回の検査がある。

 

◆設計及び建設住宅性能評価書の内容が異なる場合、工事をやり直ししてもらうことができる。

 

 ●課題・注意点 

 

◆ライフスタイルに合わせないと無駄な出費がかさむ。

 

◆評価等級が高いからといって一概に優れている訳でなく、現実とかけ離れている項目もある。

 

◆全国一律の評価内容で、個々の状況にあわないこともある。

 

◆都市型住宅や大手工業化住宅が高い評価を受け、中小工務店では対応し難い。

 

◆制度を生かすためには監視の目が必要である。

 

◆消費者が制度に関心を持ち、主旨・性能、メリット・デメリット、課題・現状を知らなければ制度が生かされない。

 

Q6自分で選んだ建築士が設計をすることになっていますが大丈夫でしょうか?

 

A6きちんと監理業務委託契約書を交わして、業者と癒着することなく業務を遂行してくれる建築士であれば、一応は問題ありません。

 

Q7役所が中間検査、完了検査を行うことになっているから大丈夫ですよね?

 

A7これまでも義務付けられていた検査が真っ当に行われていなかったのですから、法律改正後もきちんと行われるという保証はどこにもありません。

 

Q8役所が建築確認したのだから設計に問題はない?

 

A8建築確認は建物の面積、高さ等の限られた項目しか確認しません。2階建て住宅の確認申請の際に提出する図面が配置図、平面図、立面図、断面図程度(これだけの図面のみでは家は建たない)ですから、チェックできる項目も限られます。契約前に設計図書一式用意させていないと、建主の利益を守るための工事監理が出来ません。

 

Q9工事の途中に変更を口頭で申し出たら、現場監督が「いいですよ」といったので同額で変更できると思ったら、工事が完成したときに高額な追加代金を請求されてしまいました。どうしたらよいでしょうか。

 

A9追加・変更工事は口頭の約束でも成立し、当事者間の口頭の合意によっても契約の成立や変更は有効に行われたことになります。したがって、追加工事の増加金額について明らかな合意がなくても、追加工事の内容について合意している以上、請負工事業者には追加工事相当額の請求権が認められます。こういった予想外の事態を防ぐためにも、追加・変更工事を行う場合は、工事内容・追加代金の変更を行うたびに、変更を書面で取り交しておくことが重要です。

 

Q10工事の途中で、請負業者から「資材が値上りしたので請負代金を3割増しする」と支払を要求されてしまいました。また、工事途中で地盤が軟弱地盤だった事に気づいたので杭を打ったといって追加工事代金を要求されたのですが、どうしたらよいでしょうか。

 

A10資材が値上がりしたとか、大工の工賃が上がったという経済情勢の変化があっても、請負工事人は契約した工事金額で工事を完成するのが原則です。したがって、請負工事人からの請負代金の3割増しの請求に応じる必要はありません。ただし、予測することができない法令の制定改廃、経済事情の激変などによっては事情が異なりますので、こういったときには弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。


また、請負人が注文者の合意無しに、杭を打ったといって工事内容を勝手に変更したとしても、その変更したことを理由として追加工事代金を請求することはできません。

 

以上の事項から、欠陥住宅を防ぐには、業者との利益関係のない第3者の建築士の工事中チェックが必要です。

 

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本記事は、「欠陥住宅問題に取り組む第三者検査NPO - 建築Gメンの会」のウェブサイト(https://www.kenchiku-gmen.or.jp/)から転載・再編集したものです。

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