築古アパートのトイレから水漏れ…!「多額の金額でリフォーム」に、税務署から「待った」が入ったワケ【税理士が解説】

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辻・本郷 税理士法人編著の『税理士が見つけた!本当は怖いアパート経営の失敗事例34』(東峰書房)より一部を抜粋・編集し、アパートの修繕を行う際の注意点について同法人の内藤智之氏が解説していきます。

資本的⽀出を⾏った場合の減価償却…ポイントは?

では、資本的支出をした場合に、どのように減価償却を計上していくのか。

 

資本的支出を行った場合の減価償却は、原則として、その資本的支出を行った減価償却資産と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとして、その資本的支出を取得価額として減価償却を行っていきます。

 

一部特例もありますので、国税庁のタックスアンサーをご参照ください。

国税庁の「タックスアンサー」で例示されているケース

資本的⽀出を⾏った場合の減価償却

【令和2年4⽉1⽇現在法令等】

 

減価償却資産に対して資本的⽀出(固定資産の使⽤可能期間を延⻑⼜は価額を増加させる部分に対応する⽀出の⾦額)を⾏った場合、その資本的⽀出は減価償却の⽅法により各年分の必要経費に算⼊することになります。

 

資本的⽀出を⾏った場合の減価償却は次のようになります。

 

1.平成19年3⽉31⽇以前に⾏った資本的⽀出

 

その資本的⽀出を⾏った減価償却資産の取得価額に、その資本的⽀出を加算して減価償却を⾏います。

 

2.平成19年4⽉1⽇以後に⾏った資本的⽀出

 

(1)原則

 

その資本的⽀出を⾏った減価償却資産と種類及び耐⽤年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとして、その資本的⽀出を取得価額として減価償却を⾏います。

 

(2)特例

 

イ 平成19年3⽉31⽇以前に取得した減価償却資産に資本的⽀出を⾏った場合

 

上記(1)の原則にかかわらず、その資本的⽀出を⾏った減価償却資産の取得価額に、その資本的⽀出を加算して減価償却を⾏うことができます。

 

ロ 定率法※1を採⽤している減価償却資産に資本的⽀出を⾏った場合

※1償却の初期に、多くの減価償却を計上する方法

 

平成19年4⽉1⽇以後に取得した定率法を採⽤している減価償却資産に資本的⽀出を⾏った場合、資本的⽀出を⾏った翌年1⽉1⽇において、その資本的⽀出を⾏った減価償却資産の期⾸未償却残⾼※2と上記(1)の原則により新たに取得したものとされた減価償却資産(資本的⽀出の部分)の期⾸未償却残⾼の合計額を取得価額とする⼀の減価償却資産を新たに取得したものとして減価償却を⾏うことができます。

※2その期の始めにまだ償却されていない残高

 

(注)平成23年12⽉の償却率の改正により、平成24年4⽉1⽇以後に取得したものとされる減価償却資産については200%定率法を、平成24年3⽉31⽇以前に取得した減価償却資産は250%定率法を適⽤することになります。

 

このように、異なる償却率が適⽤されることから、平成24年3⽉31⽇以前に取得した減価償却資産(以下「旧減価償却資産」といいます。)に平成24年4⽉1⽇以後に資本的⽀出を⾏った場合には、旧減価償却資産とその資本的⽀出を合算して⼀の減価償却資産を新たに取得したものとする特例の適⽤はありません。

 

ハ 同⼀年中に複数回の資本的⽀出を⾏った場合の特例

 

同⼀年中に複数回⾏った資本的⽀出につき定率法を採⽤している場合で、上記ロの適⽤を受けない場合には、資本的⽀出を⾏った翌年1⽉1⽇において、上記(1)の原則により新たに取得したものとされた減価償却資産(資本的⽀出の部分)のうち、種類及び耐⽤年数を同じくするものの期⾸未償却残⾼の合計額を取得価額とする⼀の減価償却資産を新たに取得したものとして減価償却を⾏うことができます。

 

なお、平成24年中に複数回の資本的⽀出を⾏った場合は、平成24年3⽉31⽇までに⾏った資本的⽀出により新たに取得したものとされる減価償却資産と平成24年4⽉1⽇以後に⾏った資本的⽀出により新たに取得したものとされる減価償却資産とは、異なる種類及び耐⽤年数の資産とみなされます。

 

(所令127、旧所令127、平19改正所令附則1、12、平23.12改正所令附則1、2)

 

 

内藤 智之

辻・本郷 税理士法人

立川事務所 所長

税理士

 

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辻・本郷 税理士法人 編著

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