結婚のときに姓を変えた人が配偶者の死亡後に旧姓に戻すための手続き「復氏届」。姓を戻したい、とだけ考えて手続きを行うと、思ってもいなかったトラブルに発展することも。今回は復氏届の提出方法と提出する場合の注意点などを見ていきます。なお結婚したときは夫か妻のどちらかの姓を名乗ることになっていますが、本記事では夫の死亡後に妻が旧姓に戻すことを前提に考えていきます。

「復氏届提出」のデメリット

復氏届を提出することに、法律や制度面でのデメリットはほとんどありません。しかし、一方的に旧姓に戻して戸籍を抜けることで、家族関係に悪い影響が及ぶかもしれません。旧姓に戻ることで、数多くの氏名変更手続きも必要になります。

 

■【デメリット1】夫の親族の心証を害することも

復氏届は残された妻だけの意思で提出することができますが、一方的に姓をもとに戻して戸籍を抜けることで夫の親族の心証を害することは十分考えられます。

 

夫の親族との縁が切れるわけではありませんが、経済的な援助を受けていた場合は感情的な対立を生むかもしれません。また、子供は亡くなった夫に代わって義理の両親の相続人になるため、遺産相続のトラブルが子供に降りかかる可能性もあります。

 

以前から仲が悪くどうしても縁を切りたいのであれば仕方がありませんが、復氏届で家族関係にどういった影響が及ぶかも考えてみる必要はあるでしょう。

 

■【デメリット2】氏名変更の手続きが大変

復氏届で旧姓に戻した場合は、銀行の口座や健康保険証など、ありとあらゆるものの氏名変更手続きが必要になります。結婚するときにも氏名変更の手続きはあったかもしれませんが、結婚をして生活基盤を築いていく中で氏名変更手続きが必要なものは増えているでしょう。

 

主な氏名変更手続きは以下のとおりですが、他にも勤務先など必要に応じて手続きをします。子供の姓を変更した場合は、子供の氏名変更手続きも必要になります。

 

【復氏した後で行う主な氏名変更手続きと手続き先】

・運転免許証:警察署または運転免許センター

・パスポート:都道府県のパスポートセンター

・国民健康保険証、マイナンバーカード:市区町村役場の窓口

・遺族年金:市区町村役場の窓口または年金事務所

・預金口座、証券口座:各金融機関

・クレジットカード:カード会社

・生命保険、火災保険、自動車保険:各保険会社

・電気・ガス・水道、電話(固定・携帯):各事業者

・不動産登記:法務局

・自動車(普通自動車):運輸支局または自動車検査登録事務所

・自動車(軽自動車):軽自動車検査協会

復氏届の提出は注意点やデメリットも踏まえて慎重に

ここまで、復氏届の提出方法と提出する場合の注意点をご紹介しました。

 

復氏届を提出して旧姓に戻しても、相続権や遺族年金の受給権がなくなることはありません。ただし、配偶者の親族との家族関係は変わらないことに注意が必要です。

 

子供がいる場合は親子で姓と戸籍が異なるようになるため、必要に応じて子供の姓を変えて戸籍を移す手続きをします。

 

復氏届の手続きそのものは簡単ですが、注意点やデメリットなども踏まえて提出するかどうかを考えましょう。判断が難しい場合は、夫婦問題を扱う相談機関や弁護士、司法書士、行政書士などに相談することをおすすめします。

 

復氏届を提出すると不動産登記や銀行口座などの名義変更が必要となってくるので、その代行なども検討しているのであれば司法書士がおすすめです。

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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