東京都豊島区が「狭小住戸集合住宅税条例(ワンルームマンション税)」を施行し、マンションの建設規制を図った事例を、作家の山岡淳一郎氏の『生きのびるマンション 〈二つの老い〉をこえて』(岩波新書)より一部を抜粋・編集して解説します。

「罰則」でマンションの名前を公表…本当にするの?

高野区長は「不適格のお墨付きをもらったとなれば、それは価値がさがりますよ。これは、ずいぶん効くんじゃないですか」と言いつつも、「指導して協力を求めて、それでも従わないときしか、伝家の宝刀は抜きません。最後の最後ですよ。やるのは。良好な住環境をつくる、それがまさに、狙いですからね」と抑制気味です。

 

同趣旨のマンション管理条例の制定は、墨田区、板橋区、千代田区へと広がり、東京都も「マンションの適正な管理の促進に向けた制度案」を2021年3月に条例化しました。

 

「脱スラム化」へと管理組合、地域、自治体が問題意識を共有しつつあります。が、しかし……不動産、建設行政の根幹を握る国は、既存マンションの維持管理や流通の促進、建物を生かした「再生(リノベーション)」には消極的です。

 

旧「建設省」を母体とする国交省は、相変わらず「建設」主体で政策を考えます。スラムと楽園を分けるのは、じつは根本の住宅政策、マンション政策なのです。国交省は前例主義で過去に囚われているようです。

 

 

山岡 淳一郎

ノンフィクション作家

東京富士大学客員教授

 

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生きのびるマンション 〈二つの老い〉をこえて

生きのびるマンション 〈二つの老い〉をこえて

山岡 淳一郎

岩波書店

建物の欠陥、修繕積立金をめぐるトラブル、維持管理ノウハウのないタワマン……。さまざまな課題がとりまくなか、住民の高齢化と建物の老朽化という「二つの老い」がマンションを直撃している。廃墟化したマンションが出現する…

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