「確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年このような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

判断を分けるのは「証拠書類」の有無

更正の請求に使う様式は、確定申告書とは異なります。そのため、自分でつくるのが難しいと思うかもしれませんが、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーには更正の請求書をつくる機能もありますので、こちらを利用するといいでしょう。

 

気をつけておきたいのは、更正の請求をする際には、「事実を証明する書類」が必要になるという点です。たとえば、医療費控除の申告を忘れていたような場合は、医療費の領収書を、更正の請求の添付書類として提出する必要があります。こうした書類がなければ、更正の請求が認められない可能性がありますので、関係のありそうな書類は、捨てずに取っておくようにしましょう。

 

余談になりますが、確定申告に限らず、常日頃から「証拠書類」をきちんと取っておくことは心がけておきたい点です。

 

私は東京国税局を退職する直前の3年間は、東京国税不服審判所に配属され、納税者による国(税務署・国税局)に対する不服審査に従事していました。税務調査などによる処分に不服がある場合に、訴え出るセクションです。

 

このとき、納税者と国、双方の主張を聞くことになるのですが、結局判断を分けるのは証拠の有無によります。とくに、必要経費などの情報については、納税者がみずから証拠を示して立証するしかありません。

 

更正の請求をするときにも、この点は意識しておいてください。証拠書類が不十分だと、更正の請求が認められないという可能性もありますので、気をつけましょう。

 

本記事は「確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?」(河出書房新社)の一部を抜粋し、2021年5月現在の法令等に合わせ加筆したものです。法改正などにより、内容が変更となる可能性があります。

 

小林 義崇
フリーライター 元国税専門官

 

 

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