家族が亡くなったら真心こめて送りたいと思うものの、やはり気になるのが「葬儀費用」。価格の決まり方が不透明というイメージがあり、何百万円もかかるのではという心配も。そこで相続税を専門にしている税理士の現場感覚から見た「葬儀費用の相場」について見ていきます。なお本記事では葬儀を仏式で行う前提で解説していきます。

葬儀費用を納得できるものにするには

葬儀費用をめぐっては、価格決定の過程が不透明という声が多く聞かれます。個別のケースごとに費用が大きく異なり、相場がとらえづらいことも背景にあります。

 

葬儀費用を納得できるものにするためには、複数の葬祭業者から見積もりを取ることが有効です。葬儀が終わってから追加費用をめぐるトラブルが起きないように、見積書の内容を細かく見ることが大切です。特に、会葬者の人数は適切に見積もらなければなりません。

 

残された家族に負担をかけないように、元気なうちから葬祭業者の会員になっておくことも一つの方法です。

相続税の計算で葬儀費用はマイナスできる

相続税の計算では、遺産から葬儀費用を差し引くことができます。課税対象になる遺産の額を減らすことで、相続税が節税できます。

 

ただし、葬儀にかかわる費用をすべて差し引けるわけではありません。葬儀費用のうち遺産から差し引くことができるものとできないものを見ていきましょう。

 

■遺産から差し引くことができるもの

相続税の計算で遺産から差し引くことができる葬儀費用は、主に以下のようなものです。亡くなってから告別式が終わるまでの費用と考えて差し支えありませんが、納骨の費用が含まれる一方、香典返しの費用は含まれません。

 

・遺体の捜索費用

・遺体や遺骨の搬送費用

・お通夜にかかった費用

・本葬にかかった費用

・火葬や埋葬、納骨のための費用

・寺院などに対するお布施

・会葬御礼の費用

 

これらの費用でも遺産から差し引くことができるのは、故人の職業、財産その他の事情に照らしてふさわしいとされる範囲に限られます。

 

会葬御礼の費用は、別途香典返しをしている場合に限って遺産から差し引くことができます。香典返しをしていない場合は会葬御礼が香典返しとみなされ、その費用は遺産から差し引くことができません。

 

■遺産から差し引くことができないもの

以下のようなものは葬儀費用として遺産から差し引くことはできません。

 

・香典返しの費用

・初七日以降の法要の費用

・位牌、仏壇、墓地、墓石の購入費用

・医学上、裁判上特別の措置(解剖など)に要した費用

 

香典は故人ではなく喪主に対して贈られるものであるため、香典返しの費用を遺産から差し引くことはできません。

 

位牌、仏壇、墓地、墓石は葬儀とは直接関係がなく相続税が非課税になる財産でもあるため、これらの費用を遺産から差し引くことはできません。

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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