元気な高齢者がコロナのワクチン接種の予約が取れないのに、認知症の父親が取れるわけがない。仕事をしながらでは予約競争には勝つことはできず、絶望的な日々を過ごすが…。在宅で認知症父を介護する著者が経験したワクチン接種の予約騒動の舞台裏を明らかにする。連載「見つめてひらめく介護のかたち『楽しむ介護』実践日誌」の著者の黒川玲子さんが認知症の父を在宅で介護する日々を現場報告する連載特別編をお届けします。

コロナのワクチン接種の予約騒動はまだまだ続く…

ダメ元と、申し訳なさとがごちゃ混ぜになり、恐る恐るではあるが、じーじがいつも利用しているショートステイに電話をしてみた。すると、なんと!なんと、ショートステイの利用者は接種できるという。ただし、条件は接種日に1泊すること。

 

なんと運の強いじーじは、接種日に空室があったため、見事に予約ができたのである。(全ての特養併設のショートステイが行っている訳ではありません)

 

じーじの予約が取れてホッとしたら、独居で家族もいない高齢者はどうしているのかと気になり、知り合いのケアマネに聞いてみた。案の定一人でできるはずもなく、ケアマネが自宅に訪問し予約を手伝っているそうだ。中には、接種券の封筒をどこにしまったのかが分からなくなり、数時間かけて利用者と一緒に探したケアマネもいた。

 

要介護高齢者だけでも、予約制ではなく日時を指定する方法の方が良かったのではないだろうかと思う。

 

予約も大変だが、もっと大変なのは、接種会場までの移動だ。デイサービスでワクチン接種は行わないので、自力で接種会場まで行かなければならない。

 

家族が同行できない人やそもそも家族のいない人は、自費でヘルパーさんをお願いし、介護タクシーか普通のタクシーを利用して接種することになる。

 

ちなみに、自費でヘルパーさんを頼むと1時間あたりの相場は、2,500円~3,000円。介護タクシーは、接種中の待機時間を含めると5,000~6,000円はかかるので、接種をしに行くだけで10,000円弱は必要になり結構な出費となる。

 

有料老人ホームなどの施設では、施設が契約している訪問診療医が接種することが多い。特養に入所している母も、施設の登録医師が接種してくれるので、予診票に必要事項を記入し特養に提出してある。

 

余談になるが、施設に住所を移している人は、予診票が施設に届く。本人が文字を書けない場合、施設が代理で記入することができないため、いったんキーパーソンとなっている家族に郵送し、記入して返信してもらうことになる。私が参画している身元引受を行っている社団には、毎日たくさんの予診票が届き、事務局はせっせと記入し返送している。

 

まだまだ、ワクチン予約混乱は続きそうである。

 

黒川 玲子
医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者

 

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