不動産投資物件は「年金代わり」になるのか?
この言葉にグラッとくる人が多いようです。確かにその物件が未来永劫、きれいに保たれたままで入居者の心をくすぐるようなものだったら、賃料が年金生活の足しになるかも知れません。
しかし、あなたが歳を取るのと同時に、物件も年を経ていきます。今から数十年後、あなたが定年退職をしたときに、物件も築何十年もの古い物件になっているのです。はたして、その部屋に借り手がつくでしょうか? むしろ、修繕費がかかるだけの「負動産」になっている可能性が高いと思うのですが。
このとき業者が提示してくるのは、物件の維持にかかるコストを考慮せず、単純に「収益÷物件価格」から算出した「表面利回り」です。
たとえば物件が満室と想定した場合、144万円の収益を生み出す物件を3千万円で購入したとしましょう。業者が提示するのは、「144万円÷3千万円×100=4.8%」という数字です。一見すると、よさげです。
しかし、不動産投資には管理費や修繕積立金、管理手数料、固定資産税などの維持コストが必ずかかります。その分を控除して物件価格で割り戻したのが「実質利回り」です。
この例では「(144万円-70万円)÷3千万円×100=2.4%」。実質利回りは、表面利回りの半分になってしまいます。しかも、これは1年間を通して満室と仮定した場合の利回りです。
実際にはいつも満室ということは考えにくいので、実質利回りはさらに低くなります。また、「売却時にいくらで売れるか」まで考えないと、本当の利回りがわからないので、表面利回りだけで判断するのは危険です。
石田 昇吾
クライサー税理士法人 代表税理士
株式会社TAXプラス 代表取締役
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