「頑張ります」「今度頑張る」はうわべの言葉
自分の気持ちを言葉にできると、人に気持ちを伝えるだけでなく、自分自身を鼓舞することにもなり、実行力は高まります。しかし、気持ちといっても「次は頑張ります」「明日から頑張ります」という言葉は、ほとんどの場合、実行力にはつながりません。
親も、「次からちゃんとやります」と子どもが泣きながら宣言しても、どうせまたやらないに決まっている……と、心の中では子どもの言葉は信じていないと思います。それにもかかわらず「次は頑張ります」という言葉を言わせ、お小言終了。そんなシーンが家庭内で繰り返されていないでしょうか。
もし、思い当たるのであれば、すぐにでも改善していきましょう。子どもがミスしたら「ダメでしょ!」という怒りの言葉は使わないようにします。親が怒っている、機嫌が悪くなっていると感じると、子どもは失敗したことよりも、親に叱られることを防御する、もしくは叱られる時間を短くするワザを繰り出してきます。
それが「ごめんなさい」「悪かったです」「もうしません」「次は頑張ります」といった言葉の流れにつながっていきます。もちろん、ミスしたことで人に迷惑をかけたなら、その相手に「ごめんなさい」を言うのは当然ですが、忘れ物をしたり、うまくできなかったからといって、親にあやまる必要はありません。
親の側からは、「ごめんなさい」を言わせないアプローチをします。そのマジックフレーズが「誰が困っているの?」の一言です。時間どおりに遊びをやめられずに、次の予定が詰まってしまった。ちゃんと確認しなかったから忘れ物をした。
そんなときに、「困っているのは誰かな?」と、聞いてみるのです。自分が困っていることに気づけたら、「また同じことになったら、困るのは誰?」と畳みかけます。
自分のミスは、自分に降りかかってくることを教えるのです。そのあとは、次に失敗しないためにはどうしたら良いかを、一緒に考えます。
忘れ物が多いなら、持ち物を写真に撮って壁に貼る。朝、決められた時間に起きられないなら、夜、あと30分早く寝る。お片づけができなかったなら、おもちゃで遊んで良い場所を限定する。子どもが「自分のための解決策を自分で考える」のです。
就学前にこうした練習をしておくと、小学校に入ってから、宿題を忘れるたびに「明日は頑張ってやってきます」、悪い点数を取るたびに「次は100点が取れるように頑張ります」と、口先だけでつくろうことはしません。頑張るのは自分のためだと、心の底で理解しているからです。
山﨑 拓史
学校法人山崎学園理事長
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