(※写真はイメージです/PIXTA)

アパマン経営は、常に「社会的な流れ」に大きな影響を受けています。近年においては、売り上げの減少だけにとどまらず、入居者による家賃滞納も非常に深刻な問題です。これらを乗り越え、確実な収益を獲得するには、どんな対応を取るべきでしょうか。業界を取り巻く厳しい現況を、不動産のプロが明快に解説します。

「家賃が入らない…!」極めて深刻な滞納問題

アパート経営を行うに当たって「いままでのような売上が上がらなくなってきている」という現状があります。しかし、アパート経営を取り巻く環境は需給環境だけではありません。「社会的な流れ」も大きく影響を及ぼしてきています。

 

入居者はいるけれども、家賃など入居者から当然得られるべき収益を得られない。それが家賃などの滞納の問題です。

 

ご相談に来られるオーナーさんの物件のなかには、自主管理で放っておいたために、全体の7割以上の部屋で滞納が発生しているものもあります。滞納金額の累計が3000万円にも上るといいますから、驚くほかありません。

 

滞納の問題は、オーナーさんの収益を大きく圧迫する要因です。なぜなら、家賃を回収できなくても、帳簿上(P/L上)は未収金という形で売上が立ってしまうからです。売上があるのに収入にならない(現金がない)。これは経営的に非常に厳しい状況です。

 

さらに、滞納者を退去させるためには、多額の費用がかかります。日本には借地借家法という法律があり、1、2カ月家賃を滞納した程度では簡単に退去させられません。いわゆる法的措置(強制執行)によって退去させるとなれば、1年以上の年月と訴訟等の費用がかかるのです。

 

つまり、滞納は、オーナーさんにとって収入が入らないのに帳簿上の利益だけが立ち、税金や退去費用だけかかってしまう非常に深刻な問題なのです。

 

オーナーさんは、入居者を入れるのが目的ではありません。入居者を入れてその入居者から家賃を回収する(お金を払ってもらう)ことが目的です。その点において家賃滞納は、ある意味で空室よりも深刻な問題と言えるでしょう。

 

オーナーさんからすると、空室が目立ってくれば誰でもいいから入ってほしいと願います。一方で変な入居者を入れてしまうと家賃滞納に引っかかってしまう――というジレンマに陥っています。

 

家賃滞納の原因として、大きく二つの背景が考えられます。この二つがそれぞれ単独に、もしくは相互に関連して生み出している問題と言えます。

 

一つめは、経済状況の悪化(不景気)による入居者の収入の減少です。不景気により会社が倒産したり、リストラされたり、給料やボーナスが減らされたりという事情により、経済的に困窮し、いままでの家賃が払えなくなってしまうというものです。

 

そして、二つめの理由が、入居者のモラルの低下(喪失)です。物件の管理をしていて痛感するのは、日本人のモラルが非常に低下しているという事実です。一昔前、「家賃は必ず支払うもの」というのは当たり前のことでした。しかし現在、その当たり前が一部の人にとっては当たり前でなくなっているということです。

 

もっとも、子供の学校の給食費を払わない親が多くいるいまの時代、家賃の滞納くらいでは驚かないかもしれませんが。

 

彼らは「払えるのに払わない」ということですので、非常にたちが悪いのです。督促のための電話をしても意図的に電話に出なかったり、電話に出たとしてもいわゆる「逆切れ」(逆に文句を言ってくる)したりするケースが多いのも特徴です。

 

日本経済の不況による収入の減少とモラルの低下が相まって、滞納問題は深刻化の様相を呈しています。そして、滞納は毎月の家賃だけではなく、更新料(3章)や退去したときの修繕費用(退去負担金/8章)にも含まれる問題なのです。

 

これらの滞納は「いかに防ぐか」ということが重要ですが、その方法は8章で詳しくご説明いたします。

 

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※本記事は、『空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

[増補改訂版]空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式

[増補改訂版]空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式

大谷 義武,太田 大作

幻冬舎メディアコンサルティング

人口減少、住宅供給過剰の社会において、アパート経営は、昔のように何もしなくても家賃が入ってきて利益の出るものではなく、工夫しなければ利益がでない厳しい環境になっています。 そこで本書は、アパート経営における利益…

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