本連載は、グループ全体で約246兆円(2020年12月末現在)の資産を運用している世界有数の独立系資産運用会社であるキャピタル・グループが提供するレポートを転載したものです。

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勝ち組と負け組を見極める

実際のところ、EVや自動運転車の進歩という革新的な変化は、今後数年のうちに業界再編につながる可能性が高いと思われます。EVは収益化が課題ですが、一部モデルが収益性において先行するとみられます。「セクターではなく個別企業に投資する投資家としての役割は、長期にわたって利益貢献する自動車を開発する可能性が最も高い企業を特定すること」と、葛は述べています。

 

2020年のEVセクターをけん引したのは、電池技術と車載ソフトウェアのパイオニアであるテスラでした。先頭集団には同社のほか、EV生産に巨額を投じているフォルクスワーゲンや、中国のBYD(比亜迪)なども含まれていました。今後、大手自動車メーカーであれスタートアップ企業であれ、構造的な変化を素早く受け入れ、迅速に適応できる企業が長期的に成功を収める可能性を秘めています。

 

 

マーフィーは次のように述べています。「これほど破壊的な変化が起こるなか、スタートアップ企業が既に市場シェアを獲得しており、既存企業が生き残るのは難しくなるという見方が一般的です。既存の自動車メーカーは旧来の生産施設の減価償却、サプライヤーとの関係管理、利益率の低下といった課題に取り組まなくてはなりません。ただし、既存メーカーは膨大なリソースと、グローバルな生産能力も有しています。スタートアップ企業はこうしたコスト負担こそないものの、生産拡大には苦慮する可能性があります。」

 

それでも、既存メーカーを投資対象から今すぐに除外していいわけではありません。GMは、メアリー・バーラCEOの下で構造改革に取り組むなか、2035年までにすべての新車を電動化する方針を打ち出しただけでなく、自動運転車開発部門であるGMクルーズに多額の投資を行っています。

 

ブックバインダーは、「これは現時点で最も重要な機会ではありませんが、既存企業にとってもスタートアップ企業にとっても、強力なソフトウェアおよび知的財産のビジネスモデルとなる可能性を秘めており、消費者には経済効果を、社会には安全性の向上をもたらすでしょう。」と述べています。

経済的影響の拡大

世界の自動車業界の変革は、エネルギー、電力会社、製造、鉱業、保険など他の産業にも広範な影響を及ぼすでしょう。

 

「EVが広く普及することで、石油消費量は今後数年でピークに達する可能性があります」と、葛は述べています。もちろん、世界の電力の大半は依然として、石油、石炭、天然ガス由来のものです。今後必要になるのは、充電ステーションの増設、発電量の増加、そして最終的によりクリーンな発電です。「たとえばドイツでは、生成する電力の半分は再生可能エネルギーで賄われています。他の国々ではこの比率は20%に過ぎません。」

 

長期的には、電力会社は最終的にクリーン資源の構成比を高めながら、発電量を増加させる必要があります。他の分野では、バッテリーに使用されるニッケル、コバルト、リチウムといった原材料の需要が急増する可能性があります。

 

「政府や企業による原材料の確保競争が、地政学的リスク要因となる可能性があります」と、葛は述べています。

 

保険会社やメディア企業でさえ、こうした問題の一部になるとみられます。「EVメーカーは走行距離のシェアを競うインフラを構築しているだけではありません。保険会社、電力会社、メディアなどからウォレット・シェア(消費者の支出のうち自社製品の占める比率)を奪おうとしているのです」と、マーフィーは結論付けています。

 

グローバルな自動車セクターに破壊的な影響がもたらされることで、今後数年間にかつてない変化が起こる可能性があります。この影響を見極めるためには、マーフィー、ブックバインダー、葛といったプロフェッショナルによる分析が必要となるでしょう。油断することなく電動化の波を乗り切りましょう。

 

元のレポート:『テスラを超えて:EV の普及が加速』

 

 

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