コロナ感染拡大の影響により在宅時間が増える中、高齢者の孤立化が深刻な問題になっています。※本記事では、OAG司法書士法人代表の太田垣章子氏の書籍『不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方』(ポプラ社)から一部を抜粋・編集し、事例を紹介していきます。

「俺を滞納者呼ばわりしたから怒ったんだぞ」

「俺さ、あの保証会社の奴と仲違(なかたが)いしたままなんだけど、太田垣さんさぁ、仲を取り持ってくれない? そうしてくれるなら、滞納分全部まとめてすぐ払うからさぁ」

 

内田さんなりに、今の状況は良くないと思っていたようです。

 

「分かりました。じゃあ、担当の人と一緒に謝りに行けば、ちゃんと話を聞いてくれますか? 私も一緒に行きますから」

 

私がそう言うと、内田さんはホッとしたような声で、

 

「ありがとう、ありがとう。じゃ、すぐ振り込むからな」

 

そう言って電話を切りました。翌日早々には、滞納額が全額支払われました。やはりお金がなくて、支払っていなかった訳ではないようです。家賃保証会社の担当者に全額振込があったことを連絡すると、かなり驚いていました。ずっと話もできず、怒鳴られっ放しだったのですから、それも当然です。

 

お金も全額入金されたので、手続きをする訳にはいきません。会ってくれるということなので、緊急事態宣言中ではありましたが、細心の注意を払って一緒に謝りにいくことになりました。

 

当日、物件に行くと、道に面した窓から内田さんは私たちが来るのを見ていたようです。木造アパートの外階段から2階に上がると、すでにドアを開けて仁王立ちで待ち構えていました。電話の感じからすると、サラッと終わるのかなと甘く考えていたのですが、いきなり内田さんは怒鳴り始めました。

 

「おまえがな、俺を滞納者呼ばわりしたから怒ったんだぞ。それをちゃんと分かってんのか!」

 

まだ社会人2年生の担当者は、一生懸命に頭を下げているのですが、内田さんの怒りは収まりません。怒りだしたら、どんどんヒートアップしていく感じです。ここで私が口をはさんでしまうと余計に怒り出しそうなので、内田さんがひとしきり怒るのをただじっと聞いていました。

 

なんとこの怒りは、1時間以上続きました。仲を取り持ってと言っていたのに。私は少し意外な展開に戸惑いました。きちんと謝って頭を下げたら、振り上げた拳も下ろしてくれると思っていたのです。

 

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不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

太田垣 章子

ポプラ社

著者は、20年にわたり2500件以上の不動産トラブルを扱ってきた異色の司法書士。 業界紙・業界誌などでの連載や「家賃滞納という貧困」「老後に住める家がない!」などの著作を通じて(ともにポプラ新書)、業界では知らない人…

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