どんなリスクが潜んでいるかわからない「家と土地」。髙橋土地家屋調査士事務所代表・髙橋輝氏の著書『買ってはいけない家と土地』(自由国民社)より一部を抜粋・編集し、自宅を購入する際、調べておきたいポイントについて紹介していきます。

建築当初は法律を守っている建物だったのだけど…

・広告では、大事なことは小さな文字で書いてある

 

建築した当時は建築基準法を遵守して建築されたものの、建築基準法の法改正により現在は建ぺい率や容積率がオーバーになった物件を既存不適格物件(既存不適格建築物)といいます。

 

建物を建て替える時には、現行法による建ぺい率・容積率を守らなければならないので、以前より小さい建物しか建てられないことになります。このような物件が実際に売り出されているのを目にすることは多くありますので、チラシや広告に「既存不適格」の記載があれば注意が必要です。

 

なぜ注意が必要なのかというと、住宅ローンを組んで購入しようとしても、金融機関が融資してくれないことがあるからです。既存不適格物件を検討している場合は、しっかりと融資してもらえるかどうかを確認してから購入を決めましょう。

 

また、住宅ローンが組めないことがあるという理由で、買う人が限られることから、将来売却する時には、近隣の相場より安い価格でしか売れなかったり、なかなか買い手がつかない可能性もあります。しかし、世の中にはこうしたリスクのある既存不適格物件をあえて購入する方もいます。

 

一般の購入者が手を出しづらいのを逆手に取って、安く購入して、既存の建物をリフォームして住むのです。この場合は、現状の建物の大きさをそのまま利用できるメリットがあります。将来のリスクを理解して住むなら、お買い得な物件と言えるかもしれません。

 

勘違いしてはいけないのが、既存不適格建築物と違法建築物はイコールではないという点です。違法建築物は、合法に建物を建築した後、役所の許可を得ずに増築などをしてしまったケースです。もちろん当初から建築基準法の規定を守らずに建築してしまったものも同様です。違法建築物の場合は、金融機関の融資はかなり難しくなると思って下さい。

「事故物件」気にならない人ならかなりお得?

・自然死より、凶悪事件の方が安くなる

 

事故物件とは、自然死や自殺、殺人事件などがあった物件です。心理的瑕疵(しんりてきかし)物件とも言われます。

 

こうした事故物件は、気にしない方であれば、相場より安く物件を購入できることが多いのです。事故物件は、近隣相場より10〜50%程度安く売り出されることが多いからです。事故物件の価格は、想像できると思いますが、凶悪事件の方が安くなります。

 

概算ですが、次の価格が目安と考えられます。

 

自然死―通常価格の90%

殺人―通常価格の70〜80%

火事―通常価格の50〜70%

 

当然、不動産業者には契約前に説明義務があり、買主にはきちんと告知しなければなりません。「事故物件だと知っていたら買わない」という方が多い中で、近年では事故物件を専門に扱う業者もいます。興味がある方は探してみてはいかがでしょうか。

 

 

髙橋 輝

髙橋土地家屋調査士事務所代表

 

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買ってはいけない家と土地

買ってはいけない家と土地

髙橋 輝

自由国民社

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