経営者として1000万円超の役員報酬を得るようになると、今度は高額な税負担や社会保険料負担がのしかかります。これらを削減する方法はあるのでしょうか。本記事では、知る人ぞ知るスキーム、課税されない組織(ビジネスのための箱)を作って利益を参加者で自由に分配できる「LLP(有限責任事業組合)」の活用を紹介します。AXESS総合会計事務所の代表税理士・阪口雅則氏が解説します。

役員報酬を分散したところで、社会保険料の削減は…

残りの個人所得はどこに行くのかというと、個人の事業所得となるため、所得税、住民税、事業税の増加をどのように捉えるかという問題が生じますが、社会保険料のみに注目すると、かなり大きな違いが生じることがお分かりいただけると思います。

 

法人を複数運営し、役員報酬を分散したとしても、法律上、役員報酬(給与賞与)を合算して社会保険料負担することとなるため、社会保険料削減にはなりません。

 

しかし、個人の事業所得は合算する必要がないため、社会保険料は法人からの給与(役員報酬)のみが対象となります。

 

このように説明すると、ならば、法人事業と個人事業を別々に運営したらLLPなど必要ないのではないか、と考える方もいるでしょう。

 

しかし、3年や5年の長期にわたって、当初の目算通りに法人事業と個人事業のそれぞれで収益を上げるのは至難のわざです。実際にやってみれば、LLPを事業の中心に置く重要性がわかると思います。

 

役員報酬を引き下げることは、社会保険料の削減効果がある半面、将来の年金に大きく影響を及ぼしますので、何を優先するのかは経営者個々の判断となります。

 

究極の資産防衛策は存在しません。何に優先順位をおいて資産防衛を行っていくかは、すべて経営者の判断によります。

 

ただ、経営者にとって「選択肢がない、不可避な状態」は避けるべきです。物事に一長一短あったとしても、選択肢があるということが重要です。LLPはその有益な選択肢といえます。

 

 

阪口 雅則

AXESS総合会計事務所 代表

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

あなたにオススメのセミナー

    人気記事ランキング

    • デイリー
    • 週間
    • 月間

    メルマガ会員登録者の
    ご案内

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    メルマガ登録
    TOPへ