月額約19万円の「可処分所得」がさらに減る可能性も
「国民生活基礎調査」は、単身女性やひとり親世帯の貧困問題について議論する際にも使われる数字ですが、このデータを見れば高齢者世帯の平均的な姿がわかります。
2018年、65歳以上の高齢者のうち「同居の子供あり」と答えた人は全体の38.4%(うち子供夫婦と同居は11.4%、配偶者のいない子と同居が27%)で、1人暮らし世帯が18.6%、夫婦のみの世帯が38.9%です。
もちろん同居していなくても子供が親の生活を支えてくれる場合もありますが、多くの高齢者は、子供に頼らず生きていかなければならないとも言えます。
さて、先ほどの「3つのリスク」が実際に襲いかかってきたときに共通するのは、使うことができるお金、いわゆる「可処分所得」が減っていくということです。
夫が65歳以上の無職世帯の可処分所得は、月額19万3743円、年額約232万円(2018年、総務省「家計調査年表」)。高齢者世帯はもともと「可処分所得」が少ないのですが、それがさらに減ることになります。高齢無職世帯の半数以上が公的年金だけに頼って生きているのですから、高齢者の生活への影響は計り知れません。
同居・別居を問わず、まだ働いている子供たちに頼ろうと思っても、子育てがまだ終わらない彼らに親を養う余裕はないはずです。
「いざとなれば生活保護を受ければいい」とも思うでしょうが、公的年金の不足分を補えないほど政府の財政状況が悪化してしまったときには、生活保護制度も大幅に変わっているはずです。現在は「生活保護世帯のほうが、年金暮らしの単身世帯よりもずっと豊かだ」とさえ言われますが、そんな時代は消滅しているでしょう。
岩崎 博充
経済ジャーナリスト
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