競争の苛烈さで知られる「美容業界」へ単身飛び込んだ、証券会社元ディーラーの筆者。2店舗目の経営赤字も立て直し、さらなる利益を求めてコスト見直しに着手したところ、シャンプーやトリートメントといった「薬剤費」に、膨大な費用がつぎ込まれていることに驚愕。そこには、美容業界特有の「悪しき慣習」がありました。

次々と新店舗を開店させた「資金調達」の方法とは

筆者が上場について考え始めていたちょうどその頃、投資家のオフ会があって、そこで一人の投資家さんと知り合いになった。彼はいろいろ事業をやっていたが、その時は車のディーラーや不動産会社のフランチャイズ(FC)店を経営しようと思って探している、と話していた。

 

そして筆者が美容室の新たな出店を考えている事を話すと、彼は筆者にCIELをフランチャイズで経営するアイデアを提案してきた。

 

まだフランチャイズの仕組みは何もできていなかったが、せっかくのチャンスは掴みたい。筆者は彼の提案を喜んで受け入れた。彼もフランチャイズ出店でヤーマンを応援できるのならば何より嬉しいと言ってくれた。

 

そうはいったものの、それから開店にこぎつけるまでが大変だった。フランチャイズ契約といってもオーナーさんが美容業界の人ではないので、物件の内装や備品の調達、求人やスタッフの教育などはすべてこちらでやらなければならない。6月にいい物件が神戸の灘に見つかったので、開店準備のために筆者と田中さんで交代しつつ、ほぼ2ヵ月、大阪から30分かけて神戸まで通った。

 

そうして2017年7月、CIELは正社員のサロンとして3店舗目、HAT神戸店をオープンすることができた。美容業界ではフランチャイズのロイヤリティーは10~20%が平均であるが、筆者は上場のために全体の売り上げを増やすことが目的なので、ロイヤリティーは5%に抑えた。ヤーマンを応援したいとフランチャイズ加盟してくれたオーナーさんにも利益を得てもらって、多店舗展開することでWIN–WINの関係を広げていきたい。そう考えたのだ。

 

フランチャイズの話はたまたま投資家さんから持ちかけられたので話が進んだのだが、筆者はその時、他の資金調達の仕組みを探していた。そして税理士さんに相談し、「匿名組合契約」という資金調達法があることを知った。

 

通常、出資を受ける場合は株式を渡すことになるが、この時筆者は上場を目的にしていたので株は100%自分で持っていたかった。匿名組合契約では株を出資者に渡すことなく、出資してもらうことができる。匿名組合契約での出資者募集については美容室のブログに記載した。さらにこれをツイッターで拡散して、知り合いの投資家さんたちの目に届くようにした。

 

そして2017年12月、この匿名組合契約による融資によって、4号店、CIEL栄店を正社員サロンとしてオープンすることができた。筆者が大学時代を過ごした場所、楽しい思い出のつまったこの名古屋に、起業家として帰ってきた。この場所に出店できたことは感激もひとしおだった。

 

 

山下 拓馬

OXY株式会社 代表取締役

 

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山下 拓馬

幻冬舎MC

大手上場企業の安定から飛び出し個人投資家へ転身。 未経験の美容業界でオープンした美容室CIELは、設立5年で全国30店舗を展開する急成長を遂げた。 その成功の歩みから未来への展望まで、すべてを語り尽くす――。 第1章…

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