筑波こどものこころクリニック院長/小児科医の鈴木直光氏は著書『新訂版 発達障がいに困っている人びと』のなかで、発達障がいとどのように向き合うべきか語っています。本記事では、発達障がいの子どもの特徴や、実際の診断の様子を紹介します。

「わざと大きめな声」で著者が発した一言は…

ここでのポイントは、ミニカーで遊んでいるC君に聞こえるようにわざと大きめな声で「C君自身はいい子です」と自然に話すことなのです。

 

文句ばかり言っている陰険なタイプの自閉スペクトラム症の子でさえ、この「いい子」ということばに反応して、少しはこちらの話を聞くようになります。

 

「遺伝も原因の一つです。先ほどの家族歴で伺ったことから考えると多分、おじいちゃんの遺伝でしょう。お父さんも似ているところがあると思います。でも、おじいちゃんが悪いわけではありません」

 

遺伝の話をすると、たいていの母親は自分のことだとしても納得し、大きくうなずきますが、父親は納得しません。遺伝と言われ、自分のことを否定された気持ちになり、中にはそんなわけはないと怒鳴り始める方もいます。

 

発達障がいは「害」ではありません。発達障がいが遺伝だからといって、父親や母親の遺伝子が悪いものだと言っているわけではないのです。

 

「○ちゃんはお父さん似だね」

「口元はお母さんに似ているね」

「お母さんも体が弱いところがあったから……」

 

という会話がよくなされると思います。それと同じように、そのお子さんの特徴がどちらに似ているのかを述べているだけなのです。

 

発達障がいについて一般的に語られるようになったのは、つい最近のことです。今の親世代の多くは、発達障がいがどういうものかを知らずにこれまで過ごしてきました。ですから、受け入れることが難しいのは当然のことです。

 

じっくりと相談をし、納得してもらうことが必要です。今回も一度ここで中断し、父親には考えをまとめる時間を持ってもらうことにしました。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

新訂版 発達障がいに困っている人びと

新訂版 発達障がいに困っている人びと

鈴木 直光

幻冬舎メディアコンサルティング

発達障がいは治療できる 診断、対処法、正しい治療を受けるために 書版が出版されてから4年、時代の変化を踏まえて最新の研究データを盛り込み、大幅な加筆修正を加え待望の文庫化。 “「発達障がい」は治療ができない…

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