「買い手」から見た場合の「株式譲渡」と「事業譲渡」
次に、「買い手企業経営者」の立場から株式譲渡と事業譲渡を見てみましょう。自身が経営する会社で買収する場合、
●株式を買い取る→株式は会社で保有する
●事業を買い取る→会社の一部になる
つまり、株式譲渡は多くの場合「子会社化」であり、事業譲渡の場合は、その事業を自社の一事業部門にするということになります(【図表2】)。
買い手企業経営者に頭に入れておいてほしい点として、事業譲渡の場合は「消費税」があります。土地や有価証券は非課税ですが、棚卸資産や土地以外の有形固定資産等は消費税の対象となります。想定以上に多額になることがあり、資金調達にも影響しますので、事前によく確認するようにしてください。
株式譲渡と事業譲渡、それぞれの特徴とメリットデメリットを理解した上でスキームを選択することが大切です。
とは言え、最初に述べたように、売り手オーナーの目的次第、つまり「個人でお金が欲しいのか、会社で欲しいのか」で決めて良いのです。そのため、まずは売却する目的をしっかり考えるようにしてください(参照:『「M&A成立」までの3ステップ…売り手・買い手ごとに解説』)。
濵島成士郎
株式会社WealthLead
【関連記事】
税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】