2025年には、日本企業全体の1/3にあたる127万社が「後継者不在」になると予想されています。会社を引き継ぐ人が見つからない場合、選択肢の一つとして考えられるのが「M&A(合併と買収)」です。今回は、M&Aのスキームでよく使われる「株式譲渡」と「事業譲渡」の違いを、売り手・買い手それぞれの立場から見ていきます。株式会社WealthLead(ウェルスリード)代表取締役シニア・プライベートバンカーの濵島成士郎氏が解説します。

「買い手」から見た場合の「株式譲渡」と「事業譲渡」

次に、「買い手企業経営者」の立場から株式譲渡と事業譲渡を見てみましょう。自身が経営する会社で買収する場合、

 

●株式を買い取る→株式は会社で保有する

●事業を買い取る→会社の一部になる

 

つまり、株式譲渡は多くの場合「子会社化」であり、事業譲渡の場合は、その事業を自社の一事業部門にするということになります(【図表2】)。

 

【図表2】買い手企業経営者から見た「株式譲渡」と「事業譲渡」の比較

 

買い手企業経営者に頭に入れておいてほしい点として、事業譲渡の場合は「消費税」があります。土地や有価証券は非課税ですが、棚卸資産や土地以外の有形固定資産等は消費税の対象となります。想定以上に多額になることがあり、資金調達にも影響しますので、事前によく確認するようにしてください。

 

株式譲渡と事業譲渡、それぞれの特徴とメリットデメリットを理解した上でスキームを選択することが大切です。

 

とは言え、最初に述べたように、売り手オーナーの目的次第、つまり「個人でお金が欲しいのか、会社で欲しいのか」で決めて良いのです。そのため、まずは売却する目的をしっかり考えるようにしてください(参照:『「M&A成立」までの3ステップ…売り手・買い手ごとに解説』)。

 

濵島成士郎

株式会社WealthLead

 

 

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